↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『海澪 -千年の縁-』  作者: 木峰圭介


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
59/93

(57) 狗児《いぬこ》の暴力

 その日は波が荒かったので、漁は控えて、若衆の連中は歌垣の用意をしていた。

 山の会場で仮設を仕上げる者が多い中、わたじは、ひとり港周辺を整えていた。

 狗児(いぬこ)と言われる役人の手先、ごろつきの数人の姿が見えた。中でも、今の狗児(いぬこ)達は、前任にも増して乱暴で、誰もが関わりたくないと思っていた。

 こいしの姿が見えた。

 遠くからでも、こいしが狗児(いぬこ)にからまれている様子はわかったわたじは、こいしに向かって走って行った。

 こいしはが何かを拒んでいたのち、男が彼女の胸元から何かを乱暴にもぎ取ったのが見えた。

「何してる!」わたじが大声をあげる。

「お兄ちゃん」と言って、こいしが叫ぶ。

 男は、手にした棒を振り上げて乱暴な声をあげて挑発してくる。

「離れろ!」


 別の場所で、それを見ている姿があった。時間さえあれば、わたじを見ている姫(ひ)。そしてその後には、二人を心配しているはつ姫(き)がいた。

 つぐ姫(ひ)は、わたじを助けるつもりで、龍の気を使って男を弾き飛ばそうとする。

 わたじは気付いてない。他の人目もない。殺めるつもりはない。ただ少し弾き飛ばせばいいだけだ。

「俺の嫁だぞ!」

 わたじのその言葉に、つぐ姫(ひ)は一瞬動きが止まった。次の瞬間、つぐ姫(ひ)の後から、別の龍の気が飛んでいった。

 はつ姫(き)が飛ばした気だった。男はわたじを殴る前に、大きく飛ばされ、仲間の狗児(いぬこ)の一人を巻き添えにして、下の岩場に落ちて行く。 

 後にいた他の狗児(いぬこ)の輩(やから)達から見たら、わたじに殴られたと見えるかもしれない。

 はつ姫(き)は、つぐ姫(ひ)に寄り添って、何も言わない。

 わたじは、泣きじゃくるこいしにを抱き寄せる。

「大丈夫!こいしは泣き虫だな。もう安心しろ」

 話ぶりから見ると、岩場に落ちた狗児(いぬこ)が頭(かしら)的な男なのだろう。気を失っていたが、大きく出血等はしていないようだ。巻き添えに落ちた落ちた男は、立ち上がって騒いでいる。

 輩(やから)は、どこからか戸板を持っていき、意識の無い男を運び出した。直接、大声で言いがかりを付けてくる輩(やから)はいないが、わたじを睨み付けてくる。

 わたじは、指ひとつ触れていない。一人てイキっておいて、急に足を滑らせたか、バランスを崩したか、自分で転んで落ちていったように見えたが、嫌な予感がしていた。

 あいつらのことだ、後で言いがかりを付けてくるに違いない。


 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。