(55) 明音《あかね》の専攻は民族学
〝まめぞう〟に行くと、修はまだソファー席で寝ていた。パンツひとつ、長い髪はボサボサ。自称イケおじで売っているが、見せられた姿ではないが、優美には、見慣れたいつもの姿だ。
「今日は帰らせてくれよ。風呂に入りたい」と修は愚痴をこぼす。
「情けないキリストみたい……」
「星来も言うね。的確だけど、それは、キリストさんに失礼だからね」と優美。
「その前に俺に失礼だからね」と修は笑う。
笑いながら、二人の姿を見て思う。夏休み中はまだいいけど、新学期が始まったら、ひとりでは歩かせられないな。家出娘か、迷子だ。修と一緒だとしても、下手したら不審者にならないか? 特に星来は、ひとりにしたら絶対にすぐに声をかけられる。 お嬢ちゃん大丈夫?って。
ドアベルがカランと鳴って、ドアが開いた。
「明音ちゃん、早いじゃない」
「そりゃ、昨日の今日でしょ。気になるし学校休みだから、早く来ちゃった
。……って、なんで可愛い子が二人に増えてるの?」
明音が海澪を連れて来て、すぐ帰った時には、星来はまだ姿を現してなかったから、疑問なのは当然だろう。優美が説明をする。
「やけに理解が早いのね。私なんて見ても頭が追いつかなかったわよ。まぁ修ちゃんの〝見える〟のに少しは慣れてはきているけどね……」
「なんてったって、わしは民族学専攻ですからね。趣味で文化人類学を少々かじっております」と明音。
「ねぇ、星来ちゃんがその這子に隠れるの見
たい」
星来はしぶしぶといったていで、姿を隠す。
「すごいすごい。動けるの?」
『動かすところがないから、動けないです』
「動画撮りたいけど、ダメだよね?」
『ダメです!』
「だよね、残念」
(AIによるイメージです。時代設定、キャラクター設定を汲んでない場合があります。これから登場するエピソード、登場人物のネタバレがある場合があります)




