(45) 龍の宮に戻った阿留《ある》と舞緒《まいお》
長兄の阿留と長姉の舞緒が、はつ姫と話をしようと龍の宮に着いた時には、既に、はつ姫の姿はなかった。
海澪の存在を黙認して、かくまった罪の罰として、人間界に流されていた。
阿留と舞緒は、式神を送ったはつ姫の思いをその時に知った。上の組織には見つからないように、たった一人の姪でもある海澪を、密かにずっと見守っていたのは、はつ姫その人だったのだ。
式神を送ったのも、攻撃等の意図は全くなく、立場上仕方なく強気な態度を装っていたが、海澪の様子が心配なだけだったに違いない。
龍界に自由に戻れる分霊箱たる玉櫛櫃を人に預け、人の血を持つ子を龍界で産みおとすという禁忌をおかした、海澪の母親であるつぐ姫も、人界に流されて、未だに帰っていない。
この龍の宮には、 龍界側から海澪を守る龍神は、今はいないということになる。
阿留と舞緒は、龍王の弟にあたる龍継に話をしようと手筈を調えた。龍継は、はつ姫の上司のような立場のはずだ。龍継にとっても、海澪は大姪にあたる。
阿留は、龍王が幼い頃に、お世話係のように接していたので、龍継も、親しいとは言えないが知っている。
海澪の母、つぐ姫が人の世界から戻る日も近いはずだった。ほとんど一緒に暮らせなかった親娘が、静かに暮らせる方法はないのか、なんとか話し合う事ができれば良いと願うばかりだ。




