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『海澪 -千年の縁-』  作者: 木峰圭介


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(44) 秘密の一夜

 風呂から上がった修に着せる物を、優美(ゆうみ)は思案した。夏のパジャマ代わりのロングTシャツを引っ張り出した。細身の修に、なんとか収まったが、可愛いキャラクターのプリントが可笑しい。

 暖房を効かせた部屋でビール、手作りのおつまみ。

 優美(ゆうみ)も風呂に入って、ラフな服で出てきた。

「床で寝るから、なんかある?」と修。

「お客様は、ベッドで寝て下さいね。床で寝せたら愛美(あいみい)になんて言われるかわからないでしょ」

「それは、ダメだよ」

 なぜか沈黙がある。

「それじゃ、今日だけは、一緒に寝ましょ」


 どちらが誘ったわけではない、と言えば嘘になる。

 明らかに、私が誘った、と優美(ゆうみ)はわかっていた。最初に出会った時から好きだった。

『私が先だったよね』

 でも彼は、明るくて、スタイルも良い愛美(あいみ)を好きになった。それだけ。

『でも、今日くらいはいいよね』

 

『もし愛美(あいみい)がいなかったら…』

 そう、少しも考えなかったと言えば嘘になる。


 お互い、好きとは言わずに身体を重ねた。


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