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『海澪 -千年の縁-』  作者: 木峰圭介


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(43) |優美《ゆうみ》の部屋

 結局は、ほとんどが下道を使うことになった。

 SAもPAないから、ファミレスやファストフードを見つけて、トイレを兼ねて一休みをする。他愛のない話が弾み、ついつい長居になる。

 街に着く頃はもう夜中になっていた。都会の人は雪に弱い。十キロも走らせないうちに、事故車両や、事故処理のパトカーを見かける。

 愛美(あいみ)からは、何度も心配の電話がきた。運転している修は出れないので、優美(ゆうみ)が出る。

「修さん、このままトンボ帰りするって言ってるのよ」

 こんな大雪の日の夜に、疲れて運転させるのは愛美(あいみ)も心配なのだろう。

「優ちゃん、うちの人、ちゃんと泊めてあげてね。寝ないで事故ったら大変」

 優美(ゆうみ)は、自分からは言い出しにくかった言葉を、愛美(あいみ)の言葉として、修に伝えた。

「それじゃ、明日の朝に出発するよ。天気次第だけど、無理しないで帰るから、愛美(あいみい)は安心して」

 愛美(あいみ)は午後からの出勤らしいから、会えたらいいけど、気をつけてね、と話して、通話を切った。


 優美(ゆうみ)の部屋は、結婚する前から愛美(あいみ)と訪れた事がある。修と付き合う前は、姉妹で泊まりあったりしていたようだが、1Kの小さな部屋だから、修は泊まったことはなかった。

 結婚する前の愛美(あいみ)の部屋は女の子らしいワンルーム。優美(ゆうみ)の部屋はシンプルだ。

ベッドに化粧台。造り付けのクローゼットに、簡易なクローゼットハンガー。本来は二人掛けのテーブルと椅子が三つ。

 久しぶりに訪れたけど、昔と変わらない。

「懐かしいな。変わってないね」

「相変わらず、男っ気がないって事でしょ」と笑う。

「ほんとにありがとう。疲れたでしょう。お風呂でゆっくりしてて。なんか作っておくわ」

「久しぶりに、優美(ゆうみ)の手料理を食べれるのか。 愛美(あいみい)にも習わせたいよ」

 修は笑った。半分は本気だった。

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