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(31) 鳥山を探す
わたじの昼間の釣果は、はかばかしく無かった。
鯵や鯖は、何尾か掛かっていたが、ここは、一尾でも鰹か鮪が欲しいところだ。
わたじは、父親の手伝いの時に鳥山を二回ほど見たポイントに行こうと考えていた。
鳥山とは、海上で海鳥が魚を狙って集まっている事で、その下では、小魚が湧くように跳ねている。それを〝なぶら〟と言う。
そして、そのなぶらの下では、大型の魚が小魚を捕食しようと水面に押し上げている。だから、 鳥山を見つければ、その下には大物がいる可能性が高いのだ。
なぶらの下にいるのが、イルカ、シャチ、鯨の場合もあるし、なぶらに針を流しても、何も引っ掛からない事もあるから、必ずではない。しかし、鳥山を見つければチャンスである事にかわりはない。
わたじはその位置の特定も覚えている。隣村の港もかすかに見える場所だけど、網代が重なって争う事もないはずだ。少し沖だが、今日は波も穏やかだし、夕方には充分に間に合う。
わたじは、その場所で、鳥山を狙う事にして、舟を進めた。
ポイントに近づくにつれ、にやりとした。鳥山とは言えないが、数羽の海鳥が遠くの空を周っているのが見えた。
「イケるかもしれない」




