⑶ 修の予感
その休日の午後、ベッドの隣で、裸で眠っている優実を起こさないように抜け出して、修はバスルームに向かった。
シャワーを浴びて、ラフな服を着る。
「おはよう」と優実に軽いキスをする。
「……そうか、店はお休みじゃなくて、貸し切りだったわね」
「コスプレグループの二次会だか、三次会だからね。優美は、9時くらいに来てもらえば、大丈夫」
「OK。明音は?」
「9時からって、頼んである」
マンションを出ると、まだ夏の日の熱気がこもっている。
修は、バー〝まめぞう〟という名前の店のオーナーで、キッチン、カウンター担当、いわゆる〝マスター〟というやつだ。
コスプレイベントが行われているターミナル駅から一駅、タクシーなら千円もかからない。歩いても行ける距離にある。
修のマンションも、そこから1キロもない。
普段なら、こんなに早く準備する必要はない。まして、貸し切りの二次会だ。軽い物しか必要としないのが普通だろう。
しかし、今日のこのパーティでは、寿司を出すのが恒例になっていた。
かつて、釣り好きのお客が、釣果のカンパチを1尾持ち込んだことで、バーのキッチンにはもったいないくらいの、修の料理の腕がバレたのがきっかけだった。
もうひとつ、修にはある才能があった。それは、妖かしを感じることができることだ。
店の準備をしながら、修はそれを感じていた。
(AIによるイメージです。時代設定、キャラクター設定を汲んでない場合があります。これから登場するエピソード、登場人物のネタバレがある場合があります)




