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『海澪 -千年の縁-』  作者: 木峰圭介


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(27) 裸の会話

 星来(せいら)が、ちょこんと裸でバスタブに入っていると、ほんとに子供っぽくて可愛い。

 ちょっと不思議な暗い色の着物姿だと、人見知りなのか、口数は少ないし、笑わないし、機嫌悪い?と聞きたくなるけど、姿はほんとに保育園の年長さんか小学一年生という感じに見える。

『お風呂用のおもちゃで遊ばせたい!買ってくればよかった』

 優美(ゆうみ)は思ったけど、また、ぶっきらぼうに言われるだろう。

 「子供じゃないです」の声が聞こえそうだ。


 海澪(みお)を座らせ、シャンプーハットをかぶらせた。さすがに無理かと思ったが、顔が小さいのか、意外と普通に入った。

 十五歳くらいと言っていたか? 今の中学二、三年なのだろうか。華奢なからだなのに、胸は優美(ゆうみ)より張っている。いや…海澪(みお)が大きいのではなく、優美(ゆうみ)が人より小さいだけなのだと、自嘲気味に自分に言い聞かせる。

「海澪(みお)ちゃんは、星来(せいら)ちゃんと同じように、姿を消したり、姿を変えたり、出来るの?」

「いえ、そんなこと、今まで一度もしたことはないです」

「それじゃぁ、この長い髪、すごく綺麗だけど…手入れが大変そう。今度少し切りに行きましょうか」

 海澪(みお)がうなずく。

 そう言えば星来(せいら)の上の明寿(ああす)と、おしゃべりしながら、お互いの髪をとかし合うことが多かったなと、思い返した。明るい明寿(ああす)に逢いたい。

「海澪(みお)のママも、子供の時には、上手に身を変えられなかったから、海澪(みお)も出来るようになるよ、きっと」

 星来(せいら)が言った。

「そうかなぁ? なれるといいな。ママの娘だし…そうだ!」

 海澪(みお)は思い出したように目を輝かせた。

「ママは、人の世界にいるんだよね。会えたりしないのかな?」

「海澪(みお)のママも人の世界(こっち)にいるの?」

 優美(ゆうみ)が驚いて言う。

「時間が違うから、こっちで会うのは難しいんじゃないかな。でも、〝跡〟は見つけられるかもしれない。海澪(みお)のパパの〝跡〟もあるかもしれない」と 星来(せいら)。

「パパは嫌い! ママを捨てて、帰って来なかった人でしょ」

「帰って来れなかった…のかもしれないけどね」


 二人の言葉使いも「ママ、パパ」になってきていた。こっちの世界に慣れてきた証だ。


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