(26) はつ姫の罰
「今の状況を説明します」
「つぐ姫の娘だろう」
龍継も気が付いたのだろう。人の血が入っているとはいえ、大姪にあたるのだから。
「海澪……つぐ姫の娘は、蓬莱の島に隠れ住んでいました。おそらく、大人になり、人の気を隠せなくなったようです。式神で確認したところでは、人の世界に逃げこんだようです」
「ひとりでか?」
「世話をしていた神子のひとりが一緒のようです」
「つぐ姫の時間なのか?」
「違うようです。海澪には人の血が入っているので、人の世界では、およそ千年ほど先と思われます」
「海澪は、何をするつもりなのか?」
「今のところわかっているのは、それだけで…」
「戻ってきて、龍界に人の血が入るのだけは、避けないとならない」
「はい、承知しています」
「……で、はつ姫よ。最初から、知っていたのだろう?」
「……」
はつ姫は、答えられなかった。しかし、心を読まれているのもわかっていた。
「けじめだ、人の世界で、三月ほど静かにしていろ。つぐ姫には会うな」
「はい、承知しました」
「戻れるのは、こちらの時間で二、三年だ。ゴタゴタも片付いているだろう。その時は、またしっかり頼むよ」
龍継は、はつ姫と手を強く握る。
「何も問題を起こさなければ、消すつもりはないから、後は安心して任せくれ」
「海澪を、よろしくお願いします。あの子には、何も罪はないです」
はつ姫は深く頭を下げた。龍継の姿が見えなくなっても、頭を下げ続けた。
涙があふれたのは、どれだけぶりだろう。




