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『海澪 -千年の縁-』  作者: 木峰圭介


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(25) 龍継《りょうけい》叔父

 龍継(りょうけい)は、龍王の弟君になる。二人の姫達はは〝龍継(りょうけい)おじ〟と呼んでいた。

 普段は優しいのが、仕事では、真面目、カタブツと言うか…はつ姫(き)にとっても少し近づきたくない人物だった。まして、こういうトラブルを抱えている時は特にそうだ。

 その龍継(りょうけい)おじが、わざわざ、はつ姫(き)のもとに出向いて来た。

「龍継(りょうけい)おじ様、お久しぶりです」

「はつ姫(き)も元気そうで、なによりだ」

わざわざ龍継(りょうけい)おじ自身が出向いて来た理由はわかっていた、

「つぐ姫(ひ)の娘の件だが……」

「申し訳ありません。今の状況を説明します」


 つぐ姫(ひ)が、かつて龍界に人間を入れた。本来は御法度だが、ままある事だ。遭難した場合とか、何かのお礼として客人として一時招き入れる場合もあるだろう。

 しかし、つぐ姫(ひ)が、分身、分霊箱とも言える玉櫛笥(たまくしげ) (✻4)と共に人間界に帰した。これは、すぐに龍界に戻れるチケット、パスポートを無断で提供したに等しい。その上、龍界で人との子供まで宿すという、大きな禁忌を犯したのだ。

 それが原因で、つぐ姫(ひ)は、こちらの時間で約十五年、時間の流れが違うので、人間界の十八カ月の流刑。子供には罪がないとはいえ、龍界からは永久追放という厳しい罰を受けたのだった。

 判断したのは龍継(りょうけい)、苦しい宣告をせざるおえなかったのは、実の姉であり、子供の叔母でもあるはつ姫(き)自身だったのだ。

 子供が生まれると間もなく、乳離れも待たずつぐ姫(ひ)は人間界へ流刑。

 幼い子供は、既に父も身内もない人の世界に送ることも出来ず、つぐ姫(ひ)の教育係でもあった〝六連星(むつらぼし)の神子〟〝星の子〟と呼ばれていた兄妹と共に、蓬莱の島に匿われることになった。

 子供の件は、実は全て、はつ姫(き)の采配だった。立場上は表には出せないのだが。

 蓬莱の島は、人間界と龍界の間にあり、仙人、賢者と呼ばれる人が住んでいる。人にとっては近づき難く、竜界の中では治外法権や自治領的な存在なので、しばらく隠れるには都合がよかった。

 海澪(みお)が大人になるまでは……


玉櫛笥(たまくしげ) (✻4):  現代の携帯化粧箱にあたる


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