(22) 神子の兄妹達の対策
海澪と星来を、なんとか送り出し、式神を倒した後も、神子の兄妹達は、二人の正確な行方をまだ把握出来ずにいた。
近くにいれば、ある程度は心で会話が出来るとはいえ、人の血が入っている海澪が龍界から人の世界に入れば、時間の進み方が違い過ぎるだろう。兄妹達は、八百年から千年先と見積もっていた。とても心だけで会話はできない。
預けた螺鈿の印籠が、上手く中継してくれれば、物の行き来は出来なくても、連絡は取れるはずだ。
長兄の阿留と長姉の舞緒は、龍界にいるはずの、はつ姫と直接話し合うことにした。
舞緒は、はつ姫のお世話係としても、長く親しかった仲だ。
海澪が、禁忌の子なのは分かるが、なんとか良い方策はないのか。
つぐ姫が戻れば、龍界は無理でも、せめて蓬莱でもいいから、一緒に暮らせないのか。
海澪のために、現実的な落とし所を探そうとしていた。
また未来に飛ぶのとは異なり、過去に行くのは簡単ではない。
極端に言ってしまえば、十年眠っていれば、起きた時には十年後にたどり着くが、過去に行くには、その場所と時間にアンカー(錨)という〝縁〟が必要なのだ。
当時、錨は、高価な鉄ではない。木製の矢印形の構造物に、細長い石の重りを括り付けた木猫と呼ばれている物だった。
次兄の恵蓮と次姉の明寿は、海澪を戻すための〝縁〟の木猫をどうするか思案していた。
体力自慢の三男太雅は、再度の式神の訪問に備えて、見張りを欠かさなかった。
兄妹は、それぞれが、海澪と星来の無事を願って必死だったのだ。




