(21) バスルームの三人
優美、海澪、星来の三人が、狭いバスルームにいた。湯船に一緒には難しいので、軽く流して海澪を先に湯船に入れる。
「気持ちいいでしょ?」
海澪はうなずく。蓬莱の山の奥にも、お湯の泉があると聞いているけど、まだ、行った事がなかった。島では汚れたら、濡れた布で拭き取るか、川で水浴びするくらいだ。冷たい水は、さほど苦ではなかったけど、お湯の温かさは心地いい。
優美は、星来に買ったばかりの〝シャンプーハット〟をかぶらせ、髪から洗いはじめる。
「目に入って痛かったら言ってね。子供用のシャンプー忘れちゃったわ」
「子供じゃないです」
「星来ちゃんて、何歳なの?」
「二千歳くらい……今からだと……三千歳くらいになるのかなぁ?」
「すごいお姉さんだ!」
「長命種族だから、成長が遅いんです。人で言うと…5~6歳かな?…みんなにすぐ追い越されて、いつの間にか末っ子扱いになってる」
「星来、気にしてたの?」と海澪。
「これからは、年上として敬うようにする」
「やめてね。年寄り扱い」とちょっと呟く。
シャンプーを洗い流し、リンスをしている間にカラダを洗う。
「いい匂い」
「でしょ。そう言えば、 海澪ちゃんの服も、変わった、いい匂いするのよね」
「衣香って言う、人の世界の真似なんだけどね。舞緒姉ちゃんに任せっきりだから、詳しくは知らない」
海澪が言う。舞緒というのは、星来達の長姉だ。
「星来の這子 さんも舞緒さんの手作りなんです」
「サンリオかどっかの、黒いペンギンのキャラクターに似て可愛いのよね。ジト目の三白眼で、暗そうな感じとか……」
「暗くないです。それにペンギンじゃないです……猫ですから」
星来がボソッと呟く。
シャワーでリンスとからだの泡を流して、海澪と交代させる。
子供がいたら、こんなふうに一緒にお風呂入るのかなと、優美は、感じた。悪くないかもしれない。
(AIによるイメージです。時代設定、キャラクター設定を汲んでない場合があります。これから登場するエピソード、登場人物のネタバレがある場合があります)
這子 : はうこ、はいこ、とも言う。平安時代に作られた日本の古いぬいぐるみ。幼い女児のお守りとして使われる。飛騨の伝統玩具〝サルボボ〟に、その古くからの形が残っている




