(19) |愛美《あいみ》と|蕾美《らいみ》
修の予感は、正解だった。その昼過ぎに突然感じたのは、本当に強い〝感じ〟だった。
修が、昔の事故をきっかけに、〝見える〟ようになってから、最も強く感じたもののひとつだった。
さいわい、いわゆる悪い霊は、今は力がない。力があったとしても、その対象は原因の人物に向いているのだろう。
先祖霊や守護霊と言われるものは、強く守っている人もいるが、その〝感じ〟は、より強い。
龍や麒麟などの霊獣の化身か、ある種の神に近いのかもしれないとさえ感じていた。
この国は多くの神がいるけど…修自身は、神を感じたことはないから、そんな〝予感〟と言うしかない。
この店で出会う事まで、その〝感じ〟は教えていた。
「家出猫を拾って来ましたぁ」
と、一度店を出た明音が戻って来た時も、驚きは無かった。
「わしは、もうよっぱっぱじゃぁ。帰るから、よろしく」
明音はホステスじゃないけど、酒好きで、勧められるといつもこんな感じで帰宅する。
修の〝予感〟の話を聞いてなかったら、わざわざ店に戻ることもなかったかもしれない。
修は、別の意味で驚いていた。それは、一緒に店に残っていた優美も思っていたかもしれない。お互い、声には出さなかったけれど…
明音が連れて来た少女は、愛美に似ていた。
修は、こんなに幼い時の愛美は、見せてもらった写真でしか知らない。
そして、心によぎったことが、もうひとつ、
『蕾美が、もし生まれていたら……』と。




