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『海澪 -千年の縁-』  作者: 木峰圭介


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(17) 龍界

 龍界はと言えば、やはりその時代の人の世界と似る。

 

 はつ姫(き)、つぐ姫(ひ)の二人の龍姫は、龍母と龍の宮に住みんでいた。当時の貴族と同じように一夫一妻多妾の通い婚の世界とはいえ、父親である龍王は、龍母と仲が良く、龍姫達と共に暮らしていた。

 人の貴族社会の真似事とはいえ、女性の成人式にあたる裳着(もぎ)の儀を、例にならい真夜中に、行ったりもした。

 貴族の世界と全然違うのは、御簾(みす)に隠された箱入り娘ではなかったことだ。

 時間さえあれば、ひとりで身を変えて海を泳ぎ回り、時に人に身を変えて、人の住む世界まで覗きに行ったり、時に六連星(むつらぼし)の神子のひとりを案内役として一緒に、安全な海辺の村を歩き回ったりもしていた。

 

 特に、つぐ姫(ひ)のわたじへの想いは、出会って一年経って更に募っていた。つぐ姫(ひ)も裳着(もぎ)の儀を済ませ、十三、十四、当時としては、立派な成人女性になっていた。

 

 六連星(むつらぼし)の神子のひとり、次女の明寿(ああす)は、つぐ姫(ひ)と一緒に出歩くことも、話すことも多かった。

 明寿(ああす)達は、成長の時間が遅い長寿命種族なので、つぐ姫(ひ)が幼い頃は、お姉さんだったが、今は同い年感覚に追いついて、明寿(ああす)の明るい性格もあっていろいろ話もできるようになっている。

 陰キャを自認しているつぐ姫(ひ)にとっては、幼い頃からの憧れでもあった。

 



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