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『海澪 -千年の縁-』  作者: 木峰圭介


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(16) この時代は…

 今のうちに、この時代の人の世界の様子を、簡単に説明しておこう。


 千年前の都は、華やかな貴族の暮らしばかりではなかった。

 京(みやこ)の西側はすでに荒れ始め、正門である豪奢な建物も倒れたまま再建もされず、かつての大路も見る影もなかった。

 一方、都の中央内部では有力貴族が権勢を競い、地方へ下る役人の中には、任期の間に不正に蓄財を図る者も多くいた。

 地方在住の有力者の中には、役人と結託して富を得る者もあれば、土地と民を守ろうと自ら武装する者も現れて始めていた。

 そうした人々の中から、やがて武士と呼ばれる者たちが生まれていく。

 時代は、華やかな平安のただ中にありながら、少しずつ別の時代へ、地方から少しずつ不安が蓄積していく動きが出始めていた。


 先の悪童らは、相も変わらず、不正を繰り返す役人と組んでいる、在住の有力者につながる者たちだった。

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