↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『海澪 -千年の縁-』  作者: 木峰圭介


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
16/93

(15) はつ|姫《き》の思い出

 つぐ姫(ひ)とわたじの出会いから、更に少しさかのぼる。


 姉のはつ姫(き)も、妹のつぐ姫(ひ)と同じように人の世界に興味を隠せない時期があった。

 はつ姫(き)は、ネコザメに姿を変えて、興味のないふりをしながらも、時折、人の世界に近づいていた。

 ある大潮の引き潮の時に、潮溜まりに残されてしまったことがあった。

 もとの姿に戻れば、潮溜まりから抜け出すのは容易ではあったけど、日はまだ高く、引き潮の磯には、海藻や取り残された魚や蛸などを捕る人も多くいたので、やはり、姿を現すのは憚(はばか)られた。

 思案していると、一人の少年が近づいて来た。

 敵意はない。捕るためではないのはわかった。

「怖がらないで。潮が満ちるまでまだ時間があるから、海に戻してあげるよ」

 姿を変えたネコザメには鋭い歯もない、おとなしい鮫だと知っているのだろう。

 はつ姫(き)も、背ビレの刺(とげ)をそっとねかせた。

 少年は、両手で優しく抱きかかえ、大海につながる場所に静かに移動した。

 はつ姫(き)は、人に触れたこともない。まして、抱きかかえられるなど思いもしなかった。

 温まった潮溜まりより、人は温かい。胸がドキドキした。

 

 その少年が、幼い時のわたじだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。