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『海澪 -千年の縁-』  作者: 木峰圭介


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(14) わたじ

 これをきっかけに、つく姫(ひ)のこの村への通いは頻繁になった。

 海亀の姿ではない、人の姿で磯の影から、あの若者を探し、遠くから目で追うだけの日々だった。


 若者は、〝わたじ〟といった。兄と共に、父の小さな舟で漁を手伝っていた。

 わたじも、時折見かけ、遠くから目の合う、見慣れぬ美しい娘には、気が付いていた。

 膨らみかけた胸を露わに腰帯ひとつ、時に全裸の姿は、村の他の海女(あま)達と同じであったが、なぜか他の海女と馴染む風もなかった。

 どこかの村から嫁に来たが、理由あって式を先に延ばしにでもしているのか、くらいに思っている。

 女子(おなご)には女子の社会がある。確かに美しい娘ではあるが、さほど気にならなかった。



挿絵(By みてみん)

(AIによるイメージです。時代設定、キャラクター設定を汲んでない場合があります。これから登場するエピソード、登場人物のネタバレがある場合があります)

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