(12) お客様
修が、話を整理する。
海澪の母親が龍界の人で、父親が人間だとすると、本人は自覚がなくても、龍の能力が発現するのは、ある程度大人になってからなのだろう。だから、子供のうちは隠せたか、黙認されていた。
逆かもしれない。人としての何かが発現したから、隠せなくなった。
龍界に人の血が入ってくるのは、龍としての純血を保ちたい側としては避けたい。だから〝禁忌〟としているのもわかる。
だから、消したい。とりあえず、〝龍界から追い出せれば良し〟とするなら、敢えて追っては来ないかもしれない。
ただし、これがきっかけで、もしくは前例があって、人の世界に、龍の血統を残したくないのなら、追ってでも消しに来る事もありえる。
事故や自殺に見せかけた、妖かしの仕業なんて、実はありふれているけど、龍界とのトラブルって聞かないから、監視には来ても、追っては来ないと思う、と修は言う。
「とりあえず、人の世界で、おとなしくしていればね」
「で、海澪さんと、星来さんは、これから、どうしたいの?」
修が訪ねる。
「私は、帰りたい……故郷だから」
海澪は呟くように言う。
「私は、海澪を守るだけ。ちゃんと帰してあげたいけど、そんな力はないかも……」
「帰る方法はあるの?」
優美が訪ねる。
「慌てて逃げ出すのが、精一杯だったから…でも、兄さん達が調えてくれれば、生き来は出来るはず。私も、兄さん達と何度か、こっちに来たことがあるの……こんな先まで来た事はないけど」
「そうだったんだ」
海澪が少し驚いて星来聞き返した。
「ちょっとだけ。時間の流れが違うんだって。こっちの一日は向こうの百日くらい。人だと逆に、向こうの一日がこっちの百日くらいなんだって」
「海澪さんは、きっとハーフだから、この時代に来たってことなのかもね」
優美が言う。
「とりあえず、すぐ帰れないなら、うちのお客様ということですね。いろいろ揃えに行きましょう。まだ、ドンキは開いてます」
「今すぐ?」と修。
「コスプレの格好で怪しまれないのは今日だけですよ」と優美。
「そして、修ちゃんは、お財布係なんですから、ちゃんとついて来て下さい」
と優美。
「それから、しばらくは、お店で寝て下さいね。こんな可愛い子とおじさんを、ひとつ屋根の下に住まわせるわけにはいきません」




