第28回 聖地巡礼と食
ビジネス感を漂わせ始めたエッセイもどき、第28回です。
別にこの流れに乗じて何かを宣伝しようという気はありません。さらさらね。
聖地巡礼というワード、サブカル界隈に生息している方であれば一度は耳にしたことがあると思います。もともとは宗教方面の用語ではありますが、何なら日本でも四国八十八ヶ所の巡礼もありますので決して海外だけの話でもありません。
それがサブカル界隈に転用されるようになり、「アニメやゲームなどの作品に出てきた実存の場所やモデルになった場所を訪れる行為」という別の意味を持つようになったと。
確かにファンからすれば大好きな作品の一部なので聖地と呼んでも差し支えないでしょう。
この場所であのキャラクターがなになにをしていたとか、どんなセリフを言っただとか、ロマンがありますね。作品の中に入り込む、一種のイマーシブ的な体験とも言えそうです。
で、聖地巡礼というのは主に場所を対象として行われる行為ですが、それに食が紐づく場合もあります。場所に行ってかつそこで作中に出てきた料理を食べる。
孤独のグルメなんかはわかりやすい例だと思います。ラーメン大好き小泉さんとかも。見たことはないのですが聖地紹介記事は読んだことがあります。
場所というか景色ってやっぱり人間の印象にわかりやすく残る節はあると思うのですが、そこに食が合わさるというのもロマンだと思いませんか?
場所が満たしてくれる人間の五感は視覚、聴覚、嗅覚、触覚の四つまで。でもそこに食が合わさると味覚まで満たされる。これはなかなか面白いんじゃないかなと。
特に場所の記憶が味覚と一緒に残るというのはありそうな話です。
別の例ですが、特定の音楽を聴きながらとある風景を見たときにいたく印象に残り、その音楽を後日聴いた時にあの風景がフラッシュバックする……という経験はありませんか?
私は結構ある方で、小学生時代のそういう経験すらまだ覚えています。
この五感が複数組み合わさった時の記憶に残りやすい現象に名前があるのかは知りませんが、どこかで研究が行われてたりしているのかも。頑張れ日本の未来を支える誰か。
なので食と場所のタッグは結構強いと思うのです。
で、ここからが本題です。
私の人生でほぼ唯一と言っていい聖地巡礼とそこで食べた料理の話をします。
場所は静岡県浜松市、浜名湖の北側に位置する「うなぎ さくめ」です。
ここで一部の方はおわかりかと思いますが、ゆるキャン△の聖地ですね。めちゃくちゃ有名だし、というか作品自体が有名すぎる。
この時は元々静岡方面で行ってみたい場所があり、その行程の中でさくめを訪問しました。浜松駅から電車を乗り継ぎ、天竜浜名湖線の浜名湖佐久米駅へ。
目前に浜名湖を臨むロケーション最高のホームに降り立ち、駅舎で「うわ!これアニメで見たわ!」と驚きつつ感激しつつお店へ向かいました。開店1時間前だったので名前を書いて待機。その隙にEXPASA浜名湖へ徒歩で往復してちょっと見物したり。なんで?
お店が開いたらいざ入店、しかも一番乗り。
案内された席は……ん!? なでしことしまりんが座ったカウンターじゃん!?
今日一番の感激に吞まれながら着席。
うわ、これはやばい……聖地巡礼やば……と語彙を失います。
作中と同じく特上を頼めば目の前で職人さんが手際よく捌き、こんがりと焼かれていく様子を間近で鑑賞。そして特上うなぎが私の目の前に! 辛抱ならん。いただきます。
そして一口目、めっちゃぷりっぷり!
うなぎってこんなに弾力あってぷりぷりしてるの!?って驚くくらいの歯ごたえ!
そこに絶品のたれが絡めばもうご飯が止まりません。最強、うますぎ選手権世界優勝。
さらに驚いたのは二枚目のうなぎ。
なんと一枚目と違ってふわっふわに柔らかく焼き上がっているではないですか!
あの弾力とはまた違うしっとりとした絶妙な口当たりに当時の私は目を見開いていたでしょう。こんな風に違いが出せるなんてプロの調理技術やばすぎない?
正直に言うと、食べていた時の記憶がこれだけしか残っていない。
それくらい美味しくて夢中になったわけです。
いやあ私の人生の中でも五本の指に入る上質な食体験でした。
もうこの店以外でうなぎ食べられないじゃん!! この舌の責任取って!!
うわー、書いてたらまた行きたくなってきたな。
でもあんまり体調良くないので旅行すると多分身体ダメになっちゃうんだよなあ。
悔しいですがこの素晴らしい聖地巡礼の思い出を嚙み締めつつ日々の食事を楽しみましょうかね。ではまた。




