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14魔法の勇者

 魔法。それは異能の力だ。


 炎を燃やし、水を呼び、風を起こし、大地を揺らす。


 今ではこの世界では生活に無くてはならない物とされている。


 そして、魔術師でも上位に位置する者は一個人で戦略を左右するとまで言われている。


 その一人が今、ルナが対峙しているアレクサンダーである。


「ふむ。貴女が私の相手を出来るとは思えませんが?」


 眼鏡を拭きながらそう告げた。


 余裕の表情だが、ルナはメイド服を身に纏い、あまりにも華奢だ。


 とても戦闘が出来るとは思えないが、それでもルナは真っすぐにアレキサンダーの目を見つめて言う。


「ふふっ。魔王のメイドを舐めないで下さい」


 瞬間、微かにアレキサンダーの指が震えた。


 本能が、肉体が


「なるほど。腐っても魔王の配下、というわけですか」


 眼鏡を掛け直して、魔力を放った。


 周囲に風を呼び、木々の葉を揺らすほどの影響をもたらしている。


 これほどの魔力を放つ者などそうはいない。


 ただ、残念ながらもう一人、この場にはいた。


「ッ!?」


 ルナが魔力を放つと大地がひび割れ、大気が震えた。


 この魔力量はアレキサンダーの二倍、いや三倍にも等しいだろう。


「な、何という魔力……! ですが、魔力の量で勝負は決まりません!」


 そう。大事なのは魔法の技量だ。

 アレキサンダーは炎の矢を数十本もルナに向けて放った。


 あれ一本で岩をも貫くだろう。

 魔王の配下と言えど、アレを喰らえばひとたまりもない。


 ―――――勝った。


 そう確信した、次の瞬間。


 炎の矢はルナを貫く寸前に霧散して、消滅した。


「なっ……!?」


 ありえない。


 あれは打ち消されたのだ。


 理論上、まったく同じ魔力量をぶつける事で魔法を打ち消すことは出来ると言われている。


 だが、それはあくまで理論上だ。


 刹那の隙すら許さない戦場で、まったく同じ魔力量を即座に測量し、相手の魔法を無力化するなど、魔法の深淵を覗いたと言われている大賢者様でも無理だ。


 だが、ルナはそれをやって見せた。


 一体何者なんだ……?


 と、次の瞬間、ルナの周囲に数十本の火矢が生み出された。


「……火矢」

「っ、氷壁(アイス・ウォール)!」


 火矢は一瞬にして放たれ、アレキサンダーを襲った。

 間一髪で氷の壁を作って、身を護ったが、あと少しで貫かれるところだった。

 氷の壁はほとんどが火矢の熱で溶けていた。


「それは、私の……」


 問題は、ルナが放った火矢だ。


 あれは間違いなく、さっきアレキサンダーが放った魔法だった。


 ルナも同じ魔法を使えたとは考えられない。


 何故なら、あの魔法はアレキサンダーが長い年月をかけて編み出した、新しい魔法なのだから。


 一つだけ、可能性がある。 


 あの一瞬でこちらの魔力出量を計算して、まったく同じ魔力で魔法を放った?


「規格外だ……! そんなもの、伝説の魔法の勇者以外ではありえない!」


 アレキサンダーはやけくそになりながら、様々な魔法を放つ。

 しかし、すべての魔法が霧散してしまった。


 アレキサンダーはその事実を信じたくないだけだ。


 この目の前にいる少女こそが、魔法の勇者であると言う事を。


「これは、我が魔王(イサミ)と添い遂げるための力です」


 鈴が鳴る様にか細い声でルナが呟いた。


 その言葉を聞いて、アレキサンダーはゾッとした。


 急速にルナの魔力が高まっている。


 マズイ!


魔導書(グリモワール)


 ルナの目の前に一冊の本が出現する。

 パラパラとページがめくれ、止まった。




「複合魔法 炎氷嵐(ファイア・ブリザード)




 炎と氷が混ざった、巨大な嵐がアレキサンダーを襲う。


 為す術無く、一瞬で吞み込まれたアレキサンダーは気を失う寸前に、それを見た。



(美しい―――――)



 炎と氷の嵐が霧散し、雪の様に氷の結晶が降った。


 その中心にいるルナは、まるで舞台で踊る巫女の様に美しかった。


 アレキサンダーはそこで気を失い、ルナが勝利した。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


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