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『008』
「エマ様、クローゼ伯爵は森に行きました。夕方まで帰って来ませんので、家で過ごすのがいいでしょう」
クローゼ辺境伯が武器を持って家から出て行った。
その間はエマは伯爵邸にて時間を過ごすとトーマス執事に説明を受ける。
「家の中を見たいから案内してほしいわね」
「私が各部屋を案内します」
トーマスにお願いして伯爵邸を見せてもらう。
庭もあるし、家屋は部屋数は多くあるからで、トーマスと一緒に移動する。
(家の中は私の侯爵邸よりも広い)
辺境の町だけあって土地が余っているのが影響し、部屋の数が多いと実感する。
「食事を取る部屋です。今日からエマ様にはこの部屋で食事を取ります」
「クローゼ辺境伯は?」
「もちろんこの部屋で食べます」
「トーマスも食べるのですか?」
「いいえ、部屋にはいますが、一緒では食べません。私は執事ですので」
トーマスがいるのは良かったと思う。
(クローゼと2人っきりはキツイ。あの冷たい目で見られてご飯を食べても美味しいと感じるかどうかはあるけど)
食事に関してはたぶん問題はない。
苦手な料理は伝えればいい。
憧れの婚約しての生活が、こんな風に悩むとは想像もしてなかったが、エマの家族も応援いているのもあって、王都には帰れないのと自分に言い聞かせる。
トーマスと一緒に伯爵邸の中を案内してもらう。
(広いです。とにかく豪邸なのは確かですし、伯爵ですから貴族な家だな)
王都にも貴族はいる。
騎士、男爵、伯爵、侯爵、子爵と爵位は上がっていき、権力と財力は大きくなる。
エマは侯爵家なので、伯爵よりも上の爵位であるのに、エマの王都の家よりも広かった。
王都と田舎の土地の広さが影響している。
王都は大都会なので広い土地を持つのは難しいのがあり、ここは広い土地の地代も安い。
その点は日本と同じだった。
家の各部屋にはメイドの姿もあるのはエマの侯爵家と同じだ。
メイドの仕事は家の料理を作ったり、部屋の掃除をするのも仕事で雇っている。
庭があれば庭の雑草の手入れも重要になる。
爵位が上がれば雇うメイドの人数も増えるわけで、メイドの数は、その家の財力とも言える。
伯爵の爵位だけにメイドの人数は揃えている。
トーマスは親切に各部屋を教えてくれる。
冷血なクローゼとは違うというか、正反対な態度であった。
トーマスが停止して、
「ここは料理する調理場です。普段は料理人がいて今日の食べる料理の仕込みをしています」
「いい匂いがします。楽しみです。私も料理は作ってもいいのかな?」
ちょっと興味あり聞いてみたのだった。
(実は料理は好きなんでね)
エマは興味のある聞き方であった。
ここまでの優しいトーマスなので許可をもらえると期待は高い。
「エマ様は入る必要はないです。なぜなら普通は令嬢は料理はしません。全部料理のメイドに任せます」
「料理してみたいと言ったら?」
「クローゼ辺境伯が納得しないでしょうね。自分の婚約者が料理をすることは認めない」
「クローゼが私を令嬢の婚約者で、変な行動をすると伯爵の爵位に傷が付くと思っているのかしら」
意外な答えだった。
(急にトーマスは厳しい顔になったな)
「はい。伯爵からしたら自分の妻には常識のある行動をとって欲しいと思うでしょう。エマ様が料理をするのは常識な行動で困るのです。だから料理場には入らないでください」
「入りません。でも残念です。私は王都の侯爵家の家では料理をしていましたのでね。私の親はそこは認めてくれました」
「エマ様の親とクローゼ伯爵は違います。ここはクローゼ伯爵に従ってください」
「はい、そうします」
料理の部屋は多くのメイドがいた。
エマは王都の実家では料理をしていた。
薬師のスキルを使って薬草を使った料理で、その作った料理で王都の周辺で起きることに対応していたから。
つまりはエマの薬師のスキルを活かせない可能性が強いわけだ。
(入れないのはちょっと残念ですが、トーマスから忠告されたし従うしかないか)




