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『014』
エマはメイドの忠告にもかかわらず、野菜を使いだす。
メイド達は勝手な行動のエマには逆らえないのは、伯爵の婚約者であるからで、忠告までしかできなかった。
エマは日本では安月給の会社員だった。
料理はしていて、コンビニとかで弁当を買う日もあるが、金がないしなるべく安い食事を心掛けていた。
日本で食べていた野菜と似ている野菜が多く、料理をするのに問題はなさそうだと思い、勝手に料理した。
部屋にずっといると退屈なのも影響していて、刺激が欲しかった。
エマは野菜を切ったりしていると背後に誰かの気配を感じる。
「何をしているんだ?」
「ええっ、クローゼ!」
「俺は料理をしていいと許可してないぞ」
「料理は好きなんで、いいよね」
(びっくりした。クローゼが背後に。怒っている感じ)
背後にいたのはクローゼだったから、ドキッとした。
クローゼはキッチンに入っていいと許可してないと言う。
許可は得てないがエマからしたら、料理くらいは認めて欲しい。
「許可しない。俺の許可なしに料理はするな」
「なぜ料理はいけないのかしら?」
「伯爵の婚約者、妻になる女は基本は料理はしないからだ。俺の家には料理人のメイドは揃えている。料理は全部メイドがする仕事だ」
「確かにメイドの仕事なのでしょう。しかし趣味で好きに私が作るのは構わないはずです。王都の侯爵家では料理をしていたもの」
「俺の命令が聞けないのか。エマは俺の婚約者だろう。それも偽の婚約者。黙って俺の命令に従っていればいい」
「まあ、ずいぶんと厳しい人ですわ」
(ここまで厳しいなんて耐えられない。もう少し優しくてもいいのにな)
あまりの厳しさにエマは耐えられないと思う。
それをクローゼ本人にぶつける。
どういう反応をするか見たかったのもあった。
だがクローゼは揺るがずに態度は冷たい態度のまま。
ガックリとするエマ。
周囲にはメイドはいて、見ない振りをして仕事をする。
「部屋に帰ります!」
エマは野菜を置いて、個人の部屋に向かう。
クローゼは止めない。
じっとエマが出て行くのを見ているだけ。
冷たい態度ではあるものの、どこか申し訳なさも感じられる。
「エマは何も悪くはないでしょう。クローゼはエマに厳しくさせ過ぎですよ」
「トーマスか、見ていたのか」
今のやり取りはトーマスは陰で見ていた。
我慢できずにクローゼに文句を言ってしまう。
「見ていた。クローゼが王都の王族や国王を嫌っているのはわかる。私も嫌いだし。でもねエマは関係ないだろう。彼女はもっとクローゼと仲良くしたいんだよ。それを理解してやれって」
「うるさい執事だな。普通の執事なら即時に解雇だぞ」
「とにかく、クローゼはもっと優しくしなければいけないよ。だからせめて森に行くのは許可してもいいよね」
「森か。薬草をとるだけなら構わないが。もちろん魔物がいるからトーマスが同行するのが条件になる」
「ありがとうございます。私がエマ様と必ず同行しますし、ケガはさせません」
「まあ、元俺の騎士団のお前が一緒なら不安は少ないか。絶対に目を離すなよ」
「はい。お任せください」
なぜ自分がエマにこんな冷たい態度なのか。
なぜ優しくできないのかと自問してもいたクローゼ。
どこかエマに冷たくしてしまうのはあるなと思っていたところで、元騎士団でもあり執事のトーマスが森への外出の許可を求めてきた。
トーマスの戦闘能力を知っているクローゼは特別に許可を出す。
これでトーマスと一緒なら森に行けると決まった。
トーマスは本来は執事が意見を言える立場でないのを承知で意見をした。
クローゼはというと執事のトーマスに意見されて怒れないのは、以前からの関係性である。
元騎士団に所属していた時にトーマスはクローゼの右腕にも近い存在だったからで、クローゼはトーマスに言われると断り切れない特別な関係だった。
弟にも近い存在であるので、怒れない不思議な関係。




