15
『015』
エマがクローゼ辺境伯邸で過ごす時。
王都ではエマの追放を喜んでいた人物がユリウス王子と新しい婚約者でレイチェル令嬢だった。
エマと婚約破棄したことに成功し、祝福の酒を飲んでいる。
王都の城の王子の部屋は笑い声が聞こえる。
「あはははははははは、最高だ。エマを追放できたのは最高だ」
「ユリウス様。あの女はユリウス様には最悪の令嬢でした。本当に辺境に送れて正解です」
「レイチェルの言うことは正解だ。俺にエマはふさわしくない。レイチェルこそ婚約者にふさわしい令嬢だ」
エマの話で盛り上がる。
本来ならエマと一緒だったはずなのに、エマの悪口を言い合うので、酒が進んだ。
「エマは最悪の薬師です。もしユリウス様と結婚したらユリウス様は最低の王子となっていました。そうなる前に破棄したのは幸運でしょう」
「エマは元々は王都でも有能な薬師として名声を得ていた。だから婚約した俺も誇らしい。しかしあの事件が起きた。俺はエマに騙されていたのだ。悔しいが」
ユリウス王子はエマが薬師のを恨むような話をする。
その話はエマが問題を起こす話だった。
話は王都と国内に突然に原因不明の病気が流行った時の話になる。
ユリウス王子は王都で非常に危険な病気が流行っていると聞く。
王都の人はその病気を怖がり、町から人が消えるほどだった。
人から感染するという噂があったためで、国王も困っていた。
そこで対策として王都にいる上級魔術師を招集し、治癒魔術によって治癒を試みる。
しかし治癒の魔法でもその病気は治癒しない結果となったのは驚きになった。
上級魔術師でも治癒できないとなると次は薬師が呼び出される。
薬師は薬草から治癒できる薬を調合してみるも、結果は効果は得られないとなった。
国王も効果がでないとなって、非常事態となる。
そこで薬師エマの出番となった。
ユリウス王子は自分の婚約者に頼む。
エマは婚約者にお願いされて嬉しく引き受けると、森は平原に向かい、必要な薬草を採取する。
薬草を集める時にはエマのユニークスキルである薬師のスキルが発動し、独自の薬草を採取していた。
調合していつものように薬にする。
エマはこうやって王都でも天才薬師のエマ、神の薬師エマとか言う2つ名で呼べれるまでになったので、今回も自信はあった。
完成した薬はユリウス王子に引き渡し、ユリウスは病気が完全に消えると宣言したほどだった。
しかし結果は真逆になった。
エマの薬を飲んだ人は病状が酷くなってしまい、死者まで出る。
薬師エマの薬ということで喜んで飲んだのに、死ぬとはひどいと噂が広まった。
一気にエマの薬草は飲むなとなって、配布したユリウス王子の名は汚される。
エマの薬は回収されて廃棄されたが、もうその時にはユリウスの名声は落ちて行った。
直ぐにエマを呼び出して、説明させるも、エマは理由がわからないとしか言わない。
こうしてユリウスの怒りは頂点になった。
「本当に悪女です。エマは悪徳の令嬢です。婚約破棄して大正解です。今日からは私が婚約者としてユリウス様の為に尽くします」
「ありがとうレイチェル令嬢。俺はクソエマのせいで落ちた王子の名声を取り戻す。クソ女には辺境がお似合いだ」
「あはははははははは、そうですね、田舎の辺境が似合ってます。しかもクローゼ辺境伯は最低の伯爵です。貴族のパーティーでは何も話さないし、誰とも踊ることもしないし、無表情だし、つまらない男でした。あの伯爵と一緒に暮らすのは地獄ですよ」
「地獄か、あははは、最高だな」
ユリウスは元婚約者エマが苦しむ姿を想像すると楽しくなる。
王子の名を落とした女を許せないのが理由。
だがそれは全部レイチェル令嬢の罠によるものとは知らない。




