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『013』
薬師のスキルがあるから王都の時は森に行って薬草を採取した。
採取した薬草を元にして薬を調合していたから、薬草は必須な素材。
素材なくして薬はできないから、クローゼには何とかして許可を得たいところだった。
しかしクローゼはかたくなにエマの主張は認めないとし、ご飯を食べてしまう。
しかも執事のクローゼがエマに協力的に言ったのに、それも全て拒否。
トーマスも執事であるから、強く求めるのも限界はあるわけで、可能なかぎりで言ってのだったが、結果は散々だった。
(トーマスが言ってもダメだった。だとしたら森に行くのは不可能っぽい)
食べ終わると部屋を出て行ったのだった。
会話はあったが、エマにはあいかわらずの笑顔はなし。
単に質問に機械的に答えただけの会話だった。
話す口調は感情はなく感じる。
(これがクローゼとの最初の食事だったが、この先もずっとこんな風な食事になるのかな)
楽しみたい気持ちがあったエマだが、クローゼが冷たい態度で食事は食べるだけの時間になってしまい、せっかくの肉の味も消えてしまった。
クローゼが食事を終えると出て行った後は、静かであった。
エマも食べ終えて、婚約者との最初の食事は味は美味しかったのに、何か物足りない。
婚約者と気持ちが全く通じ合わないのがあった。
結局はクローゼは冷たい態度は変わらず。
そこへ執事トーマスが来て、
「エマ様が希望する森に行くのは厳しいようです」
「どうしてかしら。私は森に行きたいし、採取したいのに」
「無理な相談でしたね。クローゼはきっぱりとした態度でした。エマ様には絶対に森には行かせない意思でした。クローゼに強く言ったのですが、私の力不足です」
「あの態度では無理ですね」
(トーマスが森に行きたい私の気持ちの為に、クローゼに強い態度だったのは嬉しかった)
エマは執事が自分の為に、かなりの高いリスクで言ったのは感謝した。
トーマスにとっても執事の立場で言える限界でもあった。
「エマ様は王都では薬師をされていたと。薬師なら薬草は色々と詳しいのでしょう」
「薬草には種類がありますから。回復薬に使える草、毒になってしまう危険な草、逆に毒消しの効果がある草とかあるのです。私は見て区別ができます」
「それは凄いです。執事と剣士しかできない私にはできないです。クローゼも無理ですし、メイドもできる人はいない。エマ様は貴重な薬師となる」
「残念です。部屋に帰ります」
残念だったが、どうにもならない話。
いつかはクローゼに認めてもらい、森に行けたらいいけどと思う。
(永遠に私はこの家から出れないのかも。それだと息がつまってしまうわね)
いくら偽装結婚すると言っても、多少の自由は認めて欲しいし、森に行くのもダメ、料理もダメだとしたら退屈な日々になるとエマは思う。
執事のトーマスとは別れ、エマは自分の部屋に戻ると言っておく。
個人用の部屋に戻るとしても、その時に料理用のキッチンにも興味があったエマは、キッチンに寄ってみたくなる。
(キッチンに行こう。森がダメなら料理はいいでしょう)
執事のトーマスに許可を得ることなく、独断でキッチンに行ってしまう。
キッチンは料理人がいて、後片付けをしている最中。
エマ達が食べた皿を洗っているメイドも見える。
「エマ様、ここは料理部屋でございますよ」
「私も料理をしたいのです。肉と野菜を使ってもいいですか?」
「困ります。エマ様が料理をするのは伯爵様の許可を得てませんので」
「大丈夫です。伯爵には私が言いますから」
(野菜が残っているし、ちょっと料理しちゃおうかな。日本では安給料な会社員だったから、自炊もしていたし)
メイドが困ると言ってもエマは野菜を持ってみて、料理を開始する。




