第三十二話 第四の試練 ─勇気─
広間には静寂だけが流れていた。
床に残る黒い焼け跡。
そこにクロエがいた証は、それだけだった。
レイコはその場に膝をついたまま、静かに涙を流していた。
妹を失った。
その悲しみは、簡単に言葉にできるものではない。
誰も声を掛けなかった。
誰も、その時間を壊そうとはしなかった。
エレンは、床に残された黒い焼け跡を静かに見つめる。
(クロエ……今度は、いい人間に生まれ変わりなさいよ)
そして、静かに辺りを見渡す。
ふと、自分の足元に一本の剣が落ちていることに気付いた。
レイコが造った魔道具。
偽剣。
エレンは右手でそれを拾い上げる。
「……ルビア」
ルビアが振り返る。
エレンは偽剣を差し出した。
「ありがとう。助かったわ」
ルビアは静かに受け取る。
「はい」
そう答えると、腰へ偽剣を装備し直した。
エレンは左腕を動かそうとする。
「……」
やはり動かない。
悪魔化の代償は残ったままだった。
その様子を見たハニエルが、一歩前へ出る。
「エレン、失礼します」
ハニエルはエレンの首元へアミュレットを掛けた。
エレンは左腕を動かす。
今度は何の問題もなく動いた。
手を握る。
開く。
肩を軽く回す。
「……大丈夫」
ハニエルは安心したように微笑んだ。
「良かったです」
その頃、レイコは涙を拭う。
深く息を吸い、ゆっくりと立ち上がった。
一度だけ、黒く焼け焦げた床へ視線を向ける。
何も言わない。
静かに目を閉じると、エレン達のもとへ歩き出した。
エレンはレイコを見る。
「……レイコ」
ルビアも心配そうに声を掛ける。
「大丈夫ですか……?」
ハニエルも優しく続けた。
「無理はなさらないでください」
レイコは三人の顔を見渡す。
まだ悲しみは消えていない。
それでも、小さく微笑んだ。
「……ありがとう」
◆
「それにしても……」
エレンは左腕を軽く動かしながら笑う。
「アミュレットを付けただけで、聖域に侵された悪魔化の影響まで消えるなんて……本当にすごいわね」
レイコは小さく頷く。
「そうね。そのために何度も改良を重ねたから」
少しだけ空気が和らぐ。
エレンは左腕を見つめた。
(それにしても……クロエとヴァルキュリアは本当に強かった。左腕を悪魔化させなければ、最後の神器を守る壁は突破できなかった……)
そこで、エレンの思考が止まる。
(……神器?)
瞳がゆっくりと見開かれる。
「……待って……神器はどこ?」
その一言に──
「!!」
レイコが顔を上げる。
ルビアも、ハニエルも、三人の表情が一瞬で変わった。
四人は広間を見回す。
戦闘で砕け散った瓦礫。
崩れた床。
黒く焼け焦げた跡。
クロエが消えた場所。
しかし、どこにも神器の姿はなかった。
静寂だけが広間を包む。
「そんな……」
レイコの声が震えた。
エレンは眉をひそめた。
(……おかしい。神器は壊れない。燃えもしない)
三百年前。
地獄で修行していた頃、エレンはシルヴィアへ尋ねたことがある。
『神器は壊せるの?』
すると、シルヴィアは笑いながら答えた。
『壊せないよ。燃えもしないし、誰にも壊せない』
(……なら、なんで消えた?)
そこで、エレンの脳裏に、三百年前の記憶がよみがえった。
シルヴィアが楽しそうに話していた。
『神器っていうのはね、私達神が持っている宝玉の事なんだ』
シルヴィアは指を一本立てる。
『神器は全部で四つ。一つはクラディウス。一つはエリザベード。一つは私……なんだけど』
少し困ったように笑う。
『実は無くしちゃって』
(……そうだ。神器は四つあった)
三百年前に聞いた話だ。
だから忘れていた。
(どうしてレイコと出会った時に思い出さなかったんだろう)
一瞬そう考えたが、すぐに思考を切り替える。
(……今はそれどころじゃない。もし今回の神器が、シルヴィアの神器なら……)
クロエが燃え尽きた瞬間、誰にも気付かれないように──シルヴィアが自分の神器を回収した。
(そう考えれば……全部辻褄が合う)
神器は壊れていない。
燃えてもいない。
ただ、回収された。
(でも……なぜ?)
その疑問も、すぐに答えへ変わる。
(……そういうこと)
シルヴィアは、神器を使い、娘を生き返らせようとしていたレイコから神器を回収した。
神器という希望を失った時、レイコは何を選ぶのか──それを観察している。
そこでエレンは、もう一つの事実に思い至る。
(……待って。神器・偽は……私の中にある)
つまり、レイコだけではない。
神器・偽を持つ自分もまた──シルヴィアに観察されている。
エレンは小さく息を吐いた。
「……そういう事か」
どこか呆れたように、小さく笑う。
「シルヴィアめ。やってくれたわね。まったく……」
◆
レイコは力なく首を振った。
「そんな……神器が……」
目に見えて動揺していた。
冷静な彼女らしくない。
視線は広間をさまよい、何かを探し続けている。
「どこ……どこなの……?」
エレンは静かにレイコへ歩み寄った。
「大丈夫よ、レイコ」
その声に、レイコが顔を上げる。
「落ち着いて。大丈夫だから」
そう言うと、エレンは自分の胸へそっと手を置いた。
「神器なら、ここにある」
レイコ達の視線がエレンへ集まる。
「今はまだ渡せない。でも、クラディウスを倒して、天国に秩序を取り戻したら……」
エレンは真っ直ぐレイコを見つめる。
「私の神器・偽を、レイコにあげる」
「……いいの?」
レイコが信じられないというようにエレンを見る。
エレンは迷うことなく頷いた。
「もちろん」
その返事に、一切の迷いはなかった。
レイコはしばらく言葉を失う。
そんな彼女を見つめながら、エレンはふと別のことに気付いた。
「そういえば、レイコ。娘を生き返らせるために神器を使おうとしていたけど……そんなことをしたら、オリヴィエの一族から狙われたりしないの?『私利私欲のために神器を使った』って理由で」
レイコは少し目を伏せる。
先程までの取り乱した様子は消え、少しずついつもの冷静さを取り戻していた。
「……そうね。そうなるでしょうね」
小さく息を吐く。
「だから、ちゃんと考えていたわ。娘を生き返らせたら、そのまま娘と一緒にどこか遠くへ行くつもりだった」
少しだけ寂しそうに笑う。
「……もう、その神器もないけどね」
エレンは首を横に振った。
「逆に良かったんじゃない?」
レイコが顔を上げる。
「神器を巡る使命から解放されたんだから」
そう言って、自分の胸へそっと手を添えた。
「それに、ここにあるし」
その意味を理解したレイコは、小さく笑った。
「……エレンちゃん……本当にありがとう」
エレンは静かに頷く。
「約束だから」
広間を包んでいた重苦しい空気は、少しだけ和らいでいた。
四人は互いに頷き合うと、次の階層へ向かって歩き始める。
その背中を見つめながら、エレンは誰にも聞こえないほど小さな声で呟いた。
「……これで満足かしら? シルヴィア」
◆
四人は再び歩き始めた。
行く手を阻む聖獣はいたものの、そのどれもが四人の敵ではなかった。
ルビアの剣が一閃する。
聖獣は断末魔を上げ、その場へ倒れ伏した。
別の一体へ飛び込んだハニエルが双剣を振るう。
鋭い一撃を受けた聖獣は悲鳴を上げ、力なく地面へ崩れ落ちる。
レイコも最低限の魔法だけで、確実に聖獣を仕留めていく。
しばらく進んだ頃だった。
「そう言えば、エレンさん」
ルビアが口を開く。
「もうすぐ試練の階層ですよね?」
「ええ」
エレンは頷いた。
「そうよ。次が最後の試練」
レイコが興味深そうに尋ねる。
「どんな内容なの?」
エレンは少しだけ間を置く。
「簡単に言うと……」
一息ついてから、静かに答えた。
「龍と戦う」
その瞬間、ルビアとレイコの動きが止まった。
「……え?」
ルビアは思わず聞き返す。
「……今、何て言いました?」
エレンは表情を変えず、もう一度答える。
「龍と戦う」
レイコは驚きを隠せない様子で呟いた。
「聞き間違いじゃないようね。あの本の物語や、お伽噺に出てくる龍……本当に実在したのね」
その横で、ハニエルも目を丸くした。
「そうだったんですね。私達天使でも、第四の試練がどんな内容なのか分からなかったんですよ。水晶を覗いても、何も見えませんでしたし……」
エレンは静かに頷く。
「ちなみに龍は、この天国塔の第四の試練の中にしかいないわ。世界にいる龍は、この一体だけ。シルヴィアが言っていたもの」
ルビアは少し緊張した表情になる。
「でも……やっぱり強いんですよね?」
「もちろん」
エレンは即答した。
「強いわよ。でも、試されるのは強さじゃない」
エレンは真っ直ぐ前を見据える。
「龍に立ち向かう勇気よ」
「……勇気」
ルビアはその言葉を小さく繰り返した。
「それよりも……」
エレンは話題を変え、ルビアとレイコへ視線を向ける。
「二人とも、魔力を回復させないと。ハニエルは試練を受ける必要はないけど、二人はさっきクロエと戦った時に、かなり魔力を使ったでしょう? 私は偽剣にしか魔力を使ってないから、そんなに魔力は減ってないけど」
レイコは少し困ったように言う。
「でも、食料がないわよ?」
その言葉に、エレンとハニエルは顔を見合わせた。
「エレン」
ハニエルが小さく微笑む。
エレンも同じように笑みを浮かべた。
「ええ。試練の階層なら、落ち着いて食事ができるし……ちょうどいいわね」
そのやり取りを見たルビアとレイコは、同時に嫌な予感を覚えた。
二人は無言で顔を見合わせる。
「……」
「……」
(何だろう)
(すごく嫌な予感がする)
そんな予感を抱えたまま、一行は第四の試練の階層へと歩みを進めた。
◆
「ハニエル」
エレンが前を歩きながら声を掛ける。
「今、七十九階層よね?」
「はい」
ハニエルは頷いた。
「エレン、二体で足りますか?」
「久しぶりだから……」
エレンは少し考える。
「三体分は食べたいわね」
そして思い付いたように言う。
「あ、ハニエル。倒したら腕輪に収納すれば?」
ハニエルは小さく微笑んだ。
「いい考えですね。レイコの魔導具は、ここでも役に立ちます」
二人は楽しそうに話しながら、ルビアとレイコの少し前を歩いていた。
その背中を見ながら、ルビアが小声で呟く。
「……レイコさん。エレンさんとハニエルさん、一体何の話をしてるんですかね……」
レイコは苦笑する。
「あまり考えたくないわね」
その時だった。
「エレン」
ハニエルが足を止める。
「いました」
前方を指差す。
その先には、数多くの聖獣が歩いていた。
エレンは静かに頷く。
「いたわね。あ、それとハニエル。 シルヴィアに聞いたんだけど、聖獣の身体から出ている炎を消すと、身体の中に残っている聖なる部分も一緒に消失するらしいの。でも光の矢だと、ハニエルの光の矢の聖なる部分は残ったままになるから、実弾の矢を使って聖獣を仕留めて。そうすれば私でも食べられるから」
「任せてください」
ハニエルは腕輪から実弾の矢を取り出した。
エレンは群れを見渡し、頭の中で数を数える。
「……十体ぐらいで足りそうね」
「わかりました」
ハニエルは口元に小さく笑みを浮かべた。
「手早く仕留めます」
そう言う二人の表情は、まるで、美味しい獲物を前にした狩人そのものだった。
ルビアが小さく呟く。
「レイコさん……まさか」
その予感は、すぐに現実となった。
ハニエルは実弾の矢を次々と放ち、聖獣を正確に射抜いていく。
倒れた聖獣の体からは、聖なる炎が静かに燃え上がっていた。
エレンは首元のアミュレットへ手を伸ばす。
外した瞬間──
「っ……!」
聖域に侵された左腕へ激痛が走り、その場で動かなくなる。
それでもエレンは顔色一つ変えず、右手だけで魔法陣を展開した。
「――水よ」
放たれた水が、燃え続ける聖獣の炎を一体ずつ消していく。
炎が消えたことを確認すると、ハニエルは慣れた手つきで腕輪をかざした。
聖獣の亡骸は一体、また一体と腕輪の中へ収納されていく。
その様子を見ていたレイコは、小さくため息をついた。
「やっぱり……私達に食べさせるつもりね」
「えぇっ!?」
ルビアは思わず素っ頓狂な声を上げる。
「食べるって……聖獣をですか!?」
驚いている間にも、二人の作業はあっという間に終わっていた。
「さ、行くわよ」
エレンは何事もなかったかのように歩き出した。
「はい。行きましょう」
ハニエルも頷き、その隣へ並ぶ。
ぽかんと立ち尽くすルビアとレイコを残し、二人は第四の試練が待つ八十階層へ向かって歩き始めた。
◆
四人は八十階層へと辿り着いた。
そこには第四の試練を開始するための水晶と石版が静かに佇んでいる。
しかし、エレンとハニエルはそれらを一瞥しただけで、そのまま作業を始めた。
ハニエルは腕輪から聖獣の死体を次々と取り出す。
エレンは神器・偽でナイフを二本創造した。
一振りを自分の手に残し、もう一振りをハニエルへ渡す。
ハニエルは受け取ると、すぐに一体目の聖獣の解体へ取り掛かった。
その間にエレンは、聖獣の肉を焼くための準備を進める。
地面へ石を創造し、円状に並べる。
中央には木の枝を創造して積み重ね、簡易的なかまどを創る。
さらに肉を焼きやすいように串を何本も創造し、それを固定するための器具まで手際よく創り上げた。
一連の創造を終えると、ハニエルはエレンの首元へアミュレットを掛ける。
「レイコ、火をつけておいて頂戴」
それだけ言い残すと、エレンも別の聖獣の前へしゃがみ込み、ナイフを入れ始めた。
解体が終わった肉は、ハニエルが鮮度を保つため、一度腕輪へ収納していく。
二人の動きに無駄は一切ない。
まるで何度も繰り返してきた作業であるかのように、役割を分担しながら次々と工程をこなしていく。
「レイコさん……」
ルビアが呆然と呟く。
レイコは二人の様子を見つめ、小さく苦笑した。
「……諦めましょう」
そう言うと、レイコは素直に焚き木へ火を灯した。
◆
聖獣の解体を終えたエレンとハニエルは、串に刺した肉を火へかざし始めた。
香ばしい匂いが辺りへ漂い始める。
焼ける音だけが静かに響く。
やがて肉全体にこんがりと焼き色がつく。
エレンは一本持ち上げ、焼き具合を確認すると満足そうに微笑んだ。
「焼けたわよ」
そして後ろを振り返る。
「二人とも」
エレンは焼き上がった串を二本手に取り、ルビアとレイコへ差し出した。
「はい」
二人は串を受け取る。
焼き上がった聖獣の肉は、ほんのり白い色をしていた。
香りは悪くない。
しかし、その見た目は、とても美味しそうとは言えない。
「…………」
ルビアは無言で串を見つめる。
「…………」
レイコも同じだった。
そんな二人をよそに、エレンとハニエルは顔を見合わせる。
「いただきます」
「いただきます」
二人は同時に聖獣の肉へかぶりついた。
「~~~~っ!」
あまりの美味しさに、二人は思わず身をよじる。
「これよ! これ! 本当に美味しいわね!」
「はい!」
ハニエルも満面の笑みを浮かべる。
「美味しいです! エレンとまた二人でこのお肉を食べるのも、楽しみにしていたんですよ!」
二人は夢中になって聖獣の肉を頬張っていく。
その様子を眺めながら、レイコは小声でルビアへ話しかけた。
「ルビアちゃん……本当に美味しいのかしら、このお肉」
ルビアは串を見つめたまま、小さく呟く。
「……女は度胸……女は度胸」
レイコは思った。
(……あ、駄目だこれ)
意を決して、レイコは一口かじる。
その瞬間だった。
「――!!」
衝撃が走る。
思わず目を見開く。
「ルビアちゃん! 本当に美味しいわよ、これ!」
「……本当ですか?」
半信半疑のまま、ルビアも恐る恐る口へ運ぶ。
「――!!」
その瞬間、ルビアもまた、あまりの美味しさに目を大きく見開いた。
◆
あまりの美味しさに、四人の手は止まらなかった。
気付けば、十体分あった聖獣の肉は跡形もなく平らげられていた。
「美味しかったですね」
ハニエルは満足そうに微笑む。
「ええ」
エレンも頷く。
「三百年ぶりだったけど、やっぱり最高だったわ」
「まさか、こんなに美味しいとは思いませんでした」
ルビアは感心したように串を見つめる。
「見た目だけで判断するものじゃないわね」
レイコも苦笑しながら頷いた。
エレンは立ち上がる。
「さて……」
その一言で、場の空気が少し引き締まる。
「食事も済んだし、試練ね」
四人は頷き、水晶と石版の前まで歩いていく。
ルビアは石版に刻まれた文字へ視線を向け、そのまま読み上げた。
「水晶に手を触れよ。さすれば試練を与えん。試練を乗り越えし者は先へ進む事が出来る。試練に敗れた者には罰が下る。──勇気を示せ」
少し間を置き、続きを読む。
「尚、試練は一人でも挑戦出来るが、複数人でも挑戦出来る」
エレンは静かに頷いた。
「最後の試練も複数人で挑めるわ。ハニエルは受ける必要はないから、挑戦するのは私達三人ね」
レイコはエレンへ視線を向ける。
「でも、エレンちゃんも本当は試練を受ける必要はないのよね?……龍と戦う私達が心配だから、一緒についてきてくれるの?」
エレンは小さく笑う。
「それもあるわ。でも、それだけじゃない。私は龍に用事があるの」
三人はその言葉に少し驚いた表情を浮かべる。
「今回も、私も一緒に水晶の中へ入る。ただし……」
エレンは真剣な表情でルビアとレイコを見た。
「私は試練には一切手を出さないわ。これは、あなた達二人の試練」
そして優しく微笑む。
「……でも、大丈夫。二人なら、きっと乗り越えられるわ……それじゃあ、ハニエル。行ってくるね」
「はい」
ハニエルは優しく微笑んだ。
「エレン、ルビア、レイコ。気を付けて」
三人は静かに頷く。
そして、水晶へ手を触れた。
次の瞬間、三人の身体は光に包まれ、その場から姿を消した。
目を開けると、そこは、果てしなく広がる空間だった。
大地にはところどころ巨大な岩が点在し、空は薄暗い雲に覆われている。
「ここが……」
ルビアは周囲を見回す。
「最後の試練ね」
レイコも静かに呟いた。
そして二人が振り向いた先に──
巨大な黒龍が、三人を静かに見下ろしていた。




