中二病への憧れのきっかけ
久しぶりに
西園寺さんと出会った頃の事を夢に見た
私の好きなアニメ【ポンポンはむちゅ】
小学生を中心に人気のアニメだけど、実は結構奥が深く、大きなお友だちにも人気のアニメ
【はむちゅ】は、ハムスターながらも宇宙から侵略してくる敵と日々戦い、地球を護るお話
「はむちゅが、この世界の片隅にいる君たちを護るちゅ!」
そんな【はむちゅ】に夢中だった私は、お小遣いとお年玉を貯めて、当時の私には高額だった【はむちゅ】のマスコットキーホルダーを買った
嬉しくて嬉しくて、ずっと大事にしていて、カバンに付けていたんだけど、
中学2年の頃は恥ずかしくて、他の人には【はむちゅ】が好きだとは言えずにいた
そんなある日、その日も通学カバンに、はむちゅキーホルダーを付けていたんだけど、気付けば付いておらず
「あ…あれ?ない。ない…キーホルダーが…」
「真央ー、あれ?どうしたの?」
「あ、いや…カバンに付けていたキーホルダーがないなぁーって」
「あー、あの【はむちゅ】とかいう幼児アニメの?まあ、いいじゃん、そんなの失くなったってー。だって、あれ親が付けたヤツでしょ?」
「あ、ははは。そうだねー。まあいいか」
私は、他の子達から浮いた存在になりたくなくて、嘘をついた
本当は泣きたくなるぐらいに悲しかったのに…
放課後、校内のあちこちを探して歩いた
用務員室にも落とし物で届いていないか聞いたけど、やっぱりなかった
「あっれぇー?真央、何してるのぉ?」
「あ、ちょっと家の鍵落としちゃって」
「りょーかい!そしたら、私達カラオケ行ってるから、来れたらおいでー」
「うん!わかったー」
一緒に探して欲しいなんて言えなかった
探してくれるとも思わなかったけど
どこを探してもなくて、段々と涙が自然と溢れてくる…
はむちゅ…どこに行っちゃったんだろう…
そんな時だった
ふと見ると、汗だくになりながら、校舎の裏辺りで探し物をしている人を見かけた
誰だろう?
目を凝らしてみると、西園寺さんだった
同じクラスだったけど、話した事はなく、西園寺さんの事は噂で色々と聞いていた
変わり者で有名な西園寺さん
彼女も何か落としたのかな?
そう思いながら見ていると、
「あった!!」
そう言うと西園寺さんは目を輝かせて、何かを拾い上げた
いいな、西園寺さんは探し物が見つかったんだ…
そう思っていると、西園寺さんと目があった
と同時にこちらに駆け寄ってきた
え?何?何?じっと見ていたから、怒ってるの??
息を切らせて駆け寄ってきた西園寺さんは、ひと息つくと手を差し出してきた
「貴様が求めし宝はこれであろう」
それは、探しまわっていた【はむちゅ】のキーホルダーだった
「えっ!?え?な、なんで?」
「貴様たちの話が聞こえてきたのだ。貴様が求めし秘宝…すでに我が眼はその全てを射抜いている」
要約すると、私たちが話しているのが聞こえたそうだ
その後、私が普段カバンに付けていた【はむちゅ】がない事に気付き、捜し物がなんだか分かって探してくれていたそうだ
私は、ちょっと涙ぐみながらも
「ね、変だよね。もう中二なのに、こんな幼児アニメをいつまでも好きなんて。ね」
と少し笑ってみせた
すると、西園寺さんは私の両肩をガシっと掴み
「好きなる物を愛でる心…それを嘲笑する事などありえん!それは貴様の中の魂そのものよ!誇り給え!」
そう言うと、にこりと笑った
自分の友達と思っている人達は、誰も分かってくれなかった事を、西園寺さんだけはわかってくれた
そして、こんな必死に探してくれた
そんな彼女に惹かれていた
ただ、その後に西園寺さんと関わる事は無かった
やはり周りの目を気にして、自分から積極的に動く事もなかった
それでも、いつかは話しかけられたら…そんな風に思い過ごしてきた
でも、その後、中3の夏…
西園寺さんは交通事故で帰らぬ人となった…




