19 夜へ
「まさか、アーリエがあんなに強かったなんてな..」
「ふふん、見直したでしょ?」
俺達はポポンの群れとの戦闘の後、例の村のルーテナに戻ってきていた。
現在の時刻は夕方、窓の外は綺麗なオレンジ色で埋め尽くされている。
「粗末な物ですみませんが、これをどうぞですじゃ」
村長がそう言い、運ばれてきたのはパンやスープ等の夕食だ。運んで来てくれたのは先程紹介された村長の娘だ、可愛い。
「ありがとうございます」
「良いんですよ、私達も村を救ってもらえる身ですし、どうぞ、お食べください」
いや俺達まだ始めてのクエストなんですけど、と言える筈は無い。絶対に言えない。死んでも言えない。
まあこのクエストをクリアする算段はある。さっき森を出かける前の作戦会議でアーリエが思いついたものだ。百パーセント、とまではいかないがほぼ最高するだろう。
「これ美味いな爺さん!おっ、このスープもいけるぜ」
「ほっほっほっ、これらは全て儂等の畑で採れた物を使用していますのじゃ、味には自信がありますじゃ」
ナバルは意外とよく食べる、まあその巨体で少食なのは無理があるが。しかも中々にグルメだ。
「もう一度、ウルフについて説明して頂きますのじゃ」
そう言って、村長は話し始めた。
「ウルフ、まあこれは殆どの魔物に関わるのですじゃが、ウルフは夜、大体深夜辺りから行動が活発になりますじゃ。そしてその深夜ごろ、ウルフは森から出て来て儂等の畑を襲い、野菜を盗んでいきますじゃ」
「爺さん達は対抗できないんだろ?」
「そうですじゃ、一昨日の夜、村の一人の若者が農具で襲い掛かったのですじゃ。その若者は朝、体中傷だらけで倒れていましたのじゃ」
え、それ初耳なんだけど。
「儂等の村には農具以上の武器は御座いませんのじゃ、なのでグランドギルドの方にクエストとして依頼しましたのですじゃ」
それで、俺達がそのクエストを見つけたって訳か、成る程。
「まあ任してよ!この魔導士様に任せなさい!」
「なんとも頼もしい...、よろしく頼みましたぞ。是非、あのウルフを退治してくだされじゃ。報酬は弾みますじゃ」
報酬か、この世界では大体報酬は金で支払われる。クエストの難易度が低いと報酬は低いし、高ければ高い。このクエストは難易度が最低の物なので、報酬は低いのだ。
「ウルフって、どんくらい強いんだ?」
「おそらく、あのポポンくらいだろうね。さっきはマコトが油断して吹き飛ばされたけど、油断しなければ勝てる相手だよ」
「ポポンって、まじかよ...」
難易度最低でポポンくらい強いのか、俺もまだまだという事だろう。
「ですが、ウルフは夜目が効きます、用心してください」
「確かに夜は場が不利だな」
だが、この作戦には何の支障も無いだろう。ただ少し灯りがあれば良いのだ。
そう!この作戦は完璧なのだ!
「完璧かどうかは、分からないけどね」
「いや心を読むなよ!」
いよいよ次回はウルフと...でふ。




