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第48章 天空の歌劇と銀幕の乙女たち

第48章 天空の歌劇と銀幕の乙女たち


その年の暮れ、世界最大の映画撮影所『南越ワールド・シネマ・パーク』が南越急行なんなん線沿線に誕生したことで、新形県南大沼市・六日町を取り巻く熱気は、完全に地球規模の領域へと達していた。


北宝映画インターナショナル、米ユニバース・ピクチャーズ、そして南越急行ホールディングスの三社合弁によって建てられた巨大なシネマドーム群からは、連日のようにハリウッドや日本の超大型映画が生み出され、なんなん線の新駅「シネマ・パーク前駅」は、世界中から集まる映画監督、トップスター俳優、CGクリエイター、そして観光客で溢れかえっていた。


南越急行ホールディングスの時価総額は15兆円を突破。鉄道、地銀(越後中央銀行・南越信託銀行)、自動車(本産自動車)、航空(南越エアラインズ)、港湾・海運(南越海運)、建設(南越建設)、物流(南越物流)、報道(新形テレビ20)、ホテル(ホテル・ホワイトラビット)、食卓・農業(南越アグリ)、百貨店(伊勢ドローン配送)、医療(南越総合医療センター)、教育(南越総合大学)、創薬(武沢製薬)、飲料(南越ビバレッジ)、スーパー(カワサワ)、米菓(鶴田製菓)、そして映画エンターテインメント(南越グローバル・シネマ・スタジオ)——。


あらゆる生活・産業・カルチャーのインフラを完璧に自前で繋ぎ合わせた巨大な独立生態系。


だが、映画撮影所のグランドオープンからわずか数ヶ月後。南越急行ホールディングスの最高階・超高層役員室へ、再び「北宝映画インターナショナル」の藤堂社長が、切迫した眼差しで訪れていた。


「篠原社長、大石専務、古賀副社長……先日は映画撮影所の建設で大変なお力添えをいただき、本当にありがとうございました。おかげさまでシネマ・パークは連日世界中の映画制作でフル稼働しております」


藤堂社長は深々と頭を下げた後、応接セットのテーブルの上に、一冊の伝統を感じさせる重厚な提案書を置いた。


最高経営責任者(CEO)の篠原賢人、専務の大石、副社長の古賀の三人が視線を落とす。


そこに書かれていたタイトルは——


『東日本における新・文化拠点構想:劇団「北塚歌劇宴劇団」、劇場「北塚」、および「北塚音楽学校」設立に関する事業打診書』


古賀が太い眉をひそめた。「藤堂社長……『北塚歌劇宴劇団』に『音楽学校』だって? 撮影所の次は、今度は『舞台演劇』か?」


藤堂社長は熱を込めて語り始めた。


「はい。実は我が北宝映画インターナショナルは、大正時代から関西(兵庫県西塚市エリア)に、歴史ある大規模な大劇場と、女性だけで構成された伝統の演劇集団を傘下に保有し、経営してまいりました。華やかな衣装と歌、ダンス、そして何より『男装の麗人(男役)』が演じるロマンチックな世界観は、一世紀以上にわたり全国の女性ファンを魅了し続けております」


藤堂社長は少し苦い表情を浮かべた。


「しかし……現在、日本の東西における人の流れと経済の重心は、大きく変化いたしました。関西の既存劇場だけでは、首都圏や東日本、さらには急激に発展を遂げて世界中から人が集まるここ『新形県・南越急行沿線』の膨大な観客の需要に対応しきれなくなっているのです」


藤堂社長は篠原の目をまっすぐに見つめた。


「新形県、特に南越急行沿線には今や、最新のAI電車、超高層都市、世界一の映画撮影所、そして豊かな自然と食文化が集結しています。ですが……まだ足りないものがあります。それは、老若男女、そして世界中の人々が日常を忘れ、夢と魔法の世界に酔いしれる『最高の本格ライブ・エンターテインメント(劇場舞台芸術)』です!」


藤堂社長は身を乗り出した。


「我が社の持つ一世紀の演出ノウハウと歌劇の伝統を注ぎ込み、ここ南越急行沿線に、東日本および世界へ向けた新たな歌劇団『北塚歌劇宴劇団きたづかかげきえんげきだん』と、その専用大劇場『北塚きたづか』、そして未来のスター女優を育成する『北塚音楽学校』を新設したいのです! これらを南越急行様との合弁で建設・運営させていただけないでしょうか!」


大石が瞬時にタブレットを操作し、冷徹に数値を弾き出した。


「極めて筋の通ったビジネス提案です。演劇・歌劇ビジネスは、一度ファン(熱狂的な顧客層)がつくとリピート率が異常なまでに高く、年間を通じて極めて安定した高収益を生み出します。さらに、関西の既存歌劇団の東京公演は連日チケットが数分で完売するプレミアム状態が数十年間続いています」


大石は眼鏡の位置を正しながら続けた。


「南越急行沿線に『北塚大劇場』を建設すれば、東京から上越新幹線となんなん線複線(160km/h対応AI電車NK3500系)でわずか1時間余り。首都圏からの日帰り・一泊観劇ツアーの需要を独占できます。さらに『ホテル・ホワイトラビット』、伊勢ドローン配送の限定名物スイーツ、南越エアラインズの観劇ツアーと組み合わせることで、我がグループに莫大な二次経済効果が波及します」


古賀も豪快に膝を叩いた。


「いいじゃないか! 映画の次は、華やかな歌劇だ! 華やかな男装の麗人が歌って踊る劇場が新形にできたら、地元のばあちゃんたちも、東京や海外から来る客も大喜びだぞ!」


篠原は静かにジャスミン茶(南越ビバレッジ)を口に含み、穏やかに微笑んだ。


「藤堂社長。素晴らしいご提案です。我がグループの資金力、建設力、不動産開発力、そして交通網を全投入し……日本の、いや世界の舞台芸術の歴史を変える『北塚プロジェクト』を始動させましょう」


篠原はホワイトボードに向かって歩み出ると、不敵かつ鮮やかに新構想を書き打った。


【南越急行・北塚歌劇&音楽学校プロジェクト(プロジェクト・KITAZUKA)】


『第一の矢:合弁会社「株式会社 北塚エンターテインメント」の設立(資本金200億円)』


南越急行ホールディングス(出資比率51%)と北宝映画インターナショナル(49%)による共同設立。


『第二の矢:南越建設・南越不動産による「北塚大劇場」および「北塚音楽学校」の建設』


【北塚大劇場】: なんなん線「シネマ・パーク前駅」直結のエリアに建設。3,000席を誇る大劇場。世界初の「全高精細8Kプロジェクション・ハイブリッド舞台」「全自動オーケストラピット」「銀橋(大セリ・花道)」を備え、南越建設の全自動施工によりわずか1年で完工。


【北塚音楽学校】: 劇場に隣接する全寮制の最新鋭校舎。声楽、バレエ、タップダンス、日本舞踊、演劇論を叩き込む未来のスター育成の殿堂。南越総合大学の「メディア・イノベーション学部」と連携し、AI音響・照明解析を授業に導入。


『第三の矢:清純・正しく・美しい「男装の女優(男役)」を頂点とする劇団「北塚歌劇宴劇団」の結成』


【組編成】: 花・月・雪・星・そらに続く、新形・雪国の地を象徴する第六の組「白雪しらゆき組」および「ひかり組」を創設。


【全出演出演者】: 厳格な難関を突破した女性のみで構成。男役(男装の女優)と娘役による、夢のような絢爛豪華なレビュー&ミュージカル公演を年間300公演以上連日上演。


『第四の矢:グループ全インフラとの完璧な完全シームレス結合』


【交通・決済】: 「なんなんカード」で観劇チケット、新幹線・NK3500系、南越エアラインズ、ホテル・ホワイトラビットを一括優先予約。


【限定グルメ】: 劇場内および周辺に、伊勢百貨店、南越ビバレッジ(限定至高ジャスミン茶)、南越アグリ(限定米粉スイーツ)、鶴田製菓(北塚限定プレミアム米菓)の特設ショップを出店。


長谷川前副会長の泥臭い現場魂を受け継ぐ古賀が、感嘆の声を上げた。


「大劇場に……全寮制の音楽学校か! 夢があるなあ、篠原社長! 全国から『男役スターになりたい!』っていう女の子たちが、この新形の地に集まってくるんだな!」


篠原は温かく微笑んだ。「ええ。映画が『映像の夢』なら、歌劇は『目の前で息づく人間の熱と感動の夢』です。新形を、世界で最も心が躍るカルチャーの聖地にしましょう」


こうして、前代未聞の「北塚歌劇プロジェクト」が正式にスタートしたのである。


プロジェクトの発足とともに、まず動き出したのが『北塚音楽学校』の第1期生の全国公募であった。


「清く、正しく、美しく——そして強く」をモットーに、15歳から18歳の未婚の女性を対象とした第1期生の募集要項が全国の新聞、テレビ(新形テレビ20が特番を全国放送)、ネット、SNSで公開されると、日本全国、さらには海外から怒濤のような応募が殺到した。


「北塚の舞台に立ちたい!」「憧れの男装の麗人になりたい!」


倍率は異例の「40倍」を突破!


厳しい舞踊・声楽・面接の超難関オーディションを突破した、全国の才能と情熱にあふれる第1期生40名が選出された。


春。なんなん線「シネマ・パーク前駅」前に完成した、洗練された白亜の美しい校舎『北塚音楽学校』。


満開の桜が舞い散る校門で、第1期生の入学式が盛大に執り行われた。


灰色の上品な制服に身を包んだ新入生たちが、緊張と誇りに満ちた瞳で並んでいる。


壇上に立ったのは、南越急行CEOの篠原賢人、北宝映画の藤堂社長、そして音楽学校の校長に就任した、関西の歌劇団で伝説のトップ男役として一世を風靡した女性・おおとりであった。


鳳校長が、マイクに向かって力強い声で新入生たちへ呼びかけた。


「新入生の皆さん、入学おめでとう。今日から皆さんには、2年間の過酷なレッスンが待っています。バレエの足の痛み、声が出ない苦しさ、男役としての立ち振る舞いの難しさに、涙を流す日もあるでしょう。しかし、忘れないでください。皆さんが目指すのは、お客様に夢と希望を与える『光』そのものです!」


篠原も温かい眼差しで新入生たちを見つめ、語りかけた。


「皆さんが汗と涙を流すこの校舎のすぐ隣には、我が南越急行の超高速列車が走り、世界一の映画撮影所が広がっています。我がグループの潤沢な資本と技術は、皆さんの夢を100%バックアップします。安心して自分を磨き、2年後、隣の大劇場の銀橋(花道)から、世界中のお客様を魅了しなさい!」


新入生たちの目から、熱い誓いの涙がこぼれ落ちた。


「はいっ!!」


美しい返事が、春の校舎に高く響き渡った。


それからの2年間、北塚音楽学校では、未来のスターを目指す乙女たちの壮絶で美しい努力の日々が続いた。


早朝から深夜まで、徹底的に叩き込まれるクラシックバレエ、タップダンス、声楽、日本舞踊。


特に「男役」を目指す生徒たちは、背筋を伸ばした歩き方、低いハスキーボイスの発声法、ジャケットの羽織り方、女性(娘役)を包み込むような優しい視線のつくり方に至るまで、髪型を一ミリ単位で研究し、男以上に凛々しく格好良い「男装の麗人」としての美的センスを研鑽していった。


その教育を全面バックアップしたのも、南越急行グループであった。


南越総合大学の「メディア・イノベーション学部」がAI音声解析で生徒たちの発声をリアルタイム分析して指導。


南越総合医療センターのスポーツドクターと理学療法士が、生徒たちの体調管理とケガの予防を24時間体制で完全サポート。


食事は南越アグリの新鮮なコシヒカリと新鮮野菜、南越ビバレッジの栄養ドリンクが給食として無償提供された。


そして……音楽学校のすぐ隣では、南越建設の「全自動施工チーム」の手によって、前代未聞の超巨大大劇場『北塚大劇場』の建設が猛スピードで進められていた。


赤い絨毯が敷き詰められたゴージャスなロビー、ヨーロッパのオペラハウスを凌駕する3,000席の豪華な観客席、最先端の8Kプロジェクション壁面、そしてオーケストラピットから客席をぐるりと囲むように伸びる象徴的な「銀橋ぎんきょう」。


翌年、春。


ついに『北塚大劇場』が完成し、北塚歌劇宴劇団の初陣となる記念すべきこけら落とし公演『白雪の城と銀河の誓い』の幕が上がる日がやってきた!


公演初日。


なんなん線「シネマ・パーク前駅」は、早朝から全国から新幹線やNK3500系、南越エアラインズの航空便で駆けつけた数千人の観客で、埋め尽くされていた。


「まあ! これが新しい北塚大劇場! なんて華やかで素敵なの!」


「チケット、なんなんカードの優先予約でなんとか取れたのよ! 今日をどれだけ楽しみにしていたか!」


色とりどりのドレスや和服で着飾った全国の女性ファンや家族連れが、大劇場の赤い絨毯のロビーへと吸い込まれていく。


ロビーには、伊勢百貨店が手掛けた限定グッズショップや、鶴田製菓の「北塚限定プレミアム米菓」、南越ビバレッジの「特選初摘みジャスミン茶・北塚ボトル」がズラリと並び、飛ぶように売れていた。


ベルが鳴り、3,000席の客席が暗転する。


オーケストラピットから、重厚で美しい生演奏のファンファーレが響き渡った!


パーン————!!


光の束が舞台を照らし出すと、そこには息を呑むような絢爛豪華な白銀の城のセットが立ち現れた。


そして——大階段の頂上に姿を現したのは、厳しい2年間のレッスンを耐え抜き、銀髪のウイッグに漆黒とゴールドのナポレオンジャケットを纏った、第1期生のトップ男役・つばさであった!


背筋をピンと伸ばし、凛とした美しい顔立ち、そして胸を打つような低く美しい歌声が、劇場全体に響き渡る!


『〜雪の城に舞い降りし 銀河の誓い〜』


「きゃあぁぁぁぁっ……!!」


「格好いい……! なんて格好いいの……!」


トップ男役・翼が階段を滑らかに降り、スポットライトを浴びながら「銀橋(客席のすぐ目の前の花道)」へと歩み出てくると、3,000人の客席から地鳴りのような悲鳴と大歓声、そして割れんばかりの拍手が巻き起こった!


男よりも凛々しく、男よりもエレガントで、女性の夢と理想を100%体現した「男装の女優(男役)」。


その横に寄り添う、可憐で華やかなドレスを纏ったトップ娘役の優雅なダンス。


最先端の8Kプロジェクションによって、舞台全体が満天の星空や舞い散る桜へと一瞬で変貌し、豪華な衣裳を纏った数十名の劇団員たちがラインダンス(足上げダンス)を一糸乱れぬ美しさで披露する!


観客たちは息を呑み、涙を流し、魔法にかかったかのように完璧な「夢の世界」へと引き込まれていった。


グランドフィナーレ。


背中に巨大な鳳凰の羽(大羽根)を背負ったトップ男役の翼が、銀橋の中央で深々と一礼すると、3,000人の客席全員が総立ち(スタンディングオベーション)となり、嵐のような拍手が10分間以上も鳴り響き続けたのである!


『北塚歌劇宴劇団こけら落とし大成功! 全国から「男装の麗人」に酔いしれるファンが殺到!』


『新形の地に誕生した奇跡の夢の殿堂! チケットは年間全公演即日完売!』


新形テレビ20をはじめとする全国ニュース、さらには海外メディアがこの熱狂を報じると、「北塚ブーム」は社会現象となった。


東京や関西、九州、さらには海外から、連日大量の女性客やファミリー層が観劇のために新形県へ来訪。


観客たちは「北塚大劇場」で夢のような舞台を堪能した後、なんなん線の超高速AI電車で「越後湯澤」へ向かい、1,500億円で再生された温泉街で「ホテル・ホワイトラビット」や老舗旅館に宿泊。


南越アグリの美味しいコメと南越ビバレッジのお茶、鶴田製菓のお菓子を味わい、翌日は「南越ワールド・シネマ・パーク」で映画の世界を楽しむという、完璧な「プレミアム文化観光黄金ルート」が完成したのである!


北塚歌劇の誕生により、南越急行グループの全インフラ(鉄道・航空・バス・ホテル・飲食・商業)の稼働率は過去最高を更新。


過疎化に悩んでいた雪国の地は、今や世界中から人々が集まり、誰もが笑顔で希望を語り合う「世界一の文化・インフラ大国」として揺るぎない頂点へと君臨したのだ。


夕暮れ時。


北塚大劇場の屋上スカイデッキ。


茜色に染まる新形の空と、ライトアップされた美しい大劇場の白亜の建物を見下ろしながら、渡辺会長、長谷川副会長、篠原CEO、大石専務、古賀副社長、そして北宝映画の藤堂社長の六人がグラス(南越ビバレッジ)を手に並んでいた。


藤堂社長が、感無量の面持ちで目元を熱くしながら言った。


「渡辺会長、篠原社長……夢のようです。関西の伝統だった歌劇が、こうして新形の地で新しい命を得て、世界中の人々をこんなにも幸せにしている……。北塚は、最高の成功を収めました」


長谷川副会長も嬉しそうに古賀の肩を叩いた。


「ハハハ! 見ろよ古賀! 舞台の上で男装した綺麗なお姉ちゃんたちが踊って、全国から来たお客さんが嬉し泣きしているぞ! 俺たちの作った線路が、こんなに華やかな笑顔を運んでいるんだからな!」


古賀も豪快に笑った。「おうよ! 泥臭い工事や整備も最高だが、こういう華やかな夢がある街ってのは、やっぱり最高だな!」


大石がタブレットを閉じながら、満足そうに微笑んだ。


「北塚プロジェクトによるグループ全体の経済波及効果は年間三千億円を突破しました。単なる文化事業にとどまらず、我がグループの全インフラの稼働率を限界まで引き上げる最強の相乗効果を生み出しています」


篠原は穏やかな笑みを浮かべ、夕空に浮かぶ一番星を見つめた。


「渡辺会長、長谷川副会長。インフラとは、単に人を移動させるための道具ではありません。その移動の先で、人々が心を震わせ、生きる喜びを感じる『夢と希望』を提供すること……それこそが、我が南越急行の目指してきた未来です」


渡辺会長が立ち上がり、茜色の空の下に広がる新都市・六日町となんなん線の軌道に向かって力強く胸を張った。


「篠原君。かつて我々は『なんたか』を失い、冷たい雪の中で消えていくのを待つだけの会社だった。だが今、我々は自分たちの技術と資金で、世界中の人々に永久に消えない『夢と魔法の歌声』を届け続けているんだな」


「はい、渡辺会長。我々の創り出す夢と情熱の未来に、終着駅はありません」


大劇場から聞こえてくる、オーケストラの雄大な終曲のメロディ。


新駅「シネマ・パーク前駅」から、大勢の観客の笑顔を乗せて滑らかに発進していく、記念塗装で1編成マルーン色に装飾された時速160キロの超高速AI電車「NK3500系」。


2兆250億円という前代未聞の純利益から始まった、弱小第三セクター「南越急行」の奇跡の反撃劇。


不滅の情熱と地域の絆を胸に刻んだ彼らの走るレールと未来は、鉄道、地銀、自動車、航空、港湾、建設、物流、報道、ホテル、食卓、豪雪防衛、百貨店、人生の信託、手厚き医療、未来の教育、創薬、名物飲料、地域の胃袋、伝統の米菓、映画エンターテインメント、そして「世界を魅了する天空の歌劇(北塚歌劇宴劇団)」までも自前で繋ぎ合わせ、どこまでも、どこまでも光り輝く未来へ向かって、永久に力強く走り続けていくのだった。

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