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第47章 天空の撮影所と銀幕のフロンティア

第47章 天空の撮影所と銀幕のフロンティア


秋、全世界の映画界とエンターテインメント産業に、前代未聞の地響きが駆け巡っていた。


南越急行ホールディングスが全面協力し、製作された超大型映画『Train way —南越急行の奇跡—』。


日本全国の映画館はもちろんのこと、北米、欧州、アジア、南米、そしてアフリカに至るまで、世界数百カ国・数万館で同時公開されたこの作品は、公開初週末から映画史上のあらゆる記録を塗り替える記録的メガヒットを達成していた。


映画館に詰めかけた世界中の観客たちは、スクリーンに映し出される物語に息を呑み、涙を流し、そして惜しみない拍手を送った。


かつて新幹線延伸に伴い看板特急『なんたか』を奪われ、年間十数億円の赤字に苦しみながら「緩やかな死」を待つだけだった積雪地の弱小第三セクター・南越急行。


その会社が、210億円という狂気の投資から立ち上がり、地銀を呑み、車を作り、空を飛び、海を渡し、街を創り、巨大JRを傘下に収め、命を救い、教育を興し、そして人々の夢を乗せて未来へ疾走していく姿——。


何より、極限の暗闇の中で泥と雪にまみれ、吹雪の中で融雪作業を行い、安全運行と地域の人々の暮らしを守り抜いた名もなき現場の鉄道マンたちの汗と熱意が、世界中の人々の胸を打ったのである。


『ハリウッド映画史を塗り替える歴史的最高傑作!』

『単なる成功美談ではない。これは現代人が失った「夢と誇りと絆」の真実の物語だ!』


世界中の主要紙や映画批評サイトは大絶賛の嵐。興行収入は連日天文学的な数値を叩き出し、主幹事会社である「北宝映画インターナショナル」は、創業以来最高となる空前絶後の興行収入を記録した。


世界的な『Train way』ブームにより、映画の舞台となった新形県南大沼市・六日町や越後湯澤、なんなん線沿線には、世界中から「聖地巡礼」に訪れる外国人観光客や映画ファンが殺到。


南越急行の超高速AI電車「NK3500系」や、復元された旧型電車「NK100形」、そして南越不動産が創り出した美しい新都市・六日町は、連日大賑わいとなり、南越急行グループのインフラ・ホテル・物流・飲食部門の収益をさらに異次元の高さへと押し上げていたのである。


だが、空前絶後の『Train way』フィーバーに沸き立つ東京・有楽町の「北宝映画インターナショナル」本社ビルでは、同社の最高経営責任者(CEO)およびプロデューサー陣が、歓喜の裏で極めて切迫した「巨大な壁」にぶち当たっていた。


『Train way』の大成功を受け、北宝映画のもとには世界中の映画会社や有名監督から「次回作もぜひ北宝映画と組みたい」「日本を舞台にした超大型SF映画や時代劇ファンタジー、アクション巨編を怒濤の勢いで連続撮影したい」という大型プロジェクトの打診が殺到していた。


しかし——北宝映画が誇る東京都内の老朽化した「東京撮影所ステージ」は、建物の耐震・老朽化が限界を迎えており、何より最先端の8Kバーチャルプロダクション(巨大LEDシネマディスプレイによるリアルタイム合成撮影)や、最新のAIリアルタイムレンダリングシステム、大型特撮影備を導入するための物理的なスペースが完全に不足していたのである。


都内の狭小な敷地では、これ以上撮影所を拡張することは不可能。建て替えるにしても、莫大な地価と工期がかかり、世界から押し寄せる映画製作のビッグウェーブを逃してしまう。


「……打つ手はないのか! 世界中からこれほど巨大な映画製作のオファーが舞い込んでいるのに、撮影する『スタジオ』がないなんて……あまりにも勿体なさすぎる!」


北宝映画の社長・藤堂(60代)は、頭を抱えて呻いていた。


その時、映画『Train way』を指揮し、一大ブームを巻き起こした巨匠・神崎監督が、静かに一冊の地図をテーブルの上に広げた。


「藤堂社長。東京にこだわる必要などどこにもありません。……最高の撮影所を建設できる『理想の地』が、ひとつだけあります」


藤堂社長が目を見開いた。「どこだ……!?」


神崎監督は、地図の特定の場所——新形県南大沼市、南越急行なんなん線沿線の広大な敷地を力強く指し示した。


「新形……南越急行沿線です!」


神崎監督の瞳に、情熱の光が宿る。


「あそこには南越急行の誇る圧倒的なインフラがあります。南越建設の超高速・自動施工技術、南越不動産の大規模スマートシティ開発力、本産自動車と南越車輌のAI・最新機材製造技術、そして何より親会社である南越急行ホールディングスの絶大な資金力(2兆円から始まった12兆円の資本)と、自前の超高速鉄道網・南越エアラインズの航空網がある! あそこに日本、いや世界一の最新鋭撮影所を新建設するのです!」


藤堂社長はハッと息を呑んだ。


「南越急行沿線に……最新鋭の東洋一の撮影所を……!?」


その数日後。新形県六日町にある南越急行ホールディングス本社の最高階・超高層役役室。


最高投資責任者(CIO)篠原賢人のもとへ、北宝映画の藤堂社長と神崎監督が直々に訪れていた。


応接セットには、CEOの篠原、専務の大石、副社長の古賀が座り、出された温かいジャスミン茶(南越ビバレッジの特選一級品)を手に耳を傾けていた。


藤堂社長は深々と頭を下げ、手に抱えていた一冊の提案書をテーブルの上に置いた。


『南越急行沿線における「新・北宝国際撮影所(仮称)」建設および合弁経営に関する打診書』


「篠原社長、大石専務、古賀副社長……! 映画『Train way』の節は、多大なるご協力をいただき誠にありがとうございました!」藤堂社長が感極まった面持ちで語り始める。


「おかげさまで映画は過去最高の興行収入を記録いたしました。しかし……我が社は今、撮影所の老朽化と狭小化により、世界中からの映画製作オファーを受けきれないという決定的なピンチに直面しております。そこでお願いです!」


藤堂社長は身を乗り出し、切痛な思いを訴えた。


「南越急行様のなんなん線沿線の広大な土地をお借りし、南越急行ホールディングス様と北宝映画の五分五分の合弁で、日本最新鋭の『スマート映画撮影所』を建設し、共同経営させていただけないでしょうか! 建設は南越建設様、開発は南越不動産様にお願いしたいのです!」


長谷川前副社長から現場魂を受け継いだ古賀が、豪快に膝を叩いた。


「おいおい、凄え話じゃないか! 南越急行沿線に映画の撮影所ができるだって!? 新形がハリウッドやキネマの街みたいになるのか!」


大石が冷静に眼鏡を指で押し上げ、提案書の数値を弾き出した。


「財務および投資効果の面から見ても、極めて魅力的な提案です。撮影所の誘致は単なる不動産賃貸にとどまりません。国内外から数千人規模の監督、俳優、映像クリエイター、CG技師が滞留することになり、我がグループの『ホテル・ホワイトラビット』、広域AIバス『南越・新形モビリティ交通』、飲食、そして『南越エアラインズ』の利用率が天文学的に跳ね上がります。十分投資に見合う案件です」


篠原は静かにジャスミン茶を口含み、静かに頷いた。


「藤堂社長、神崎監督。お申し出、喜んでお受けいたします。我がグループの南越不動産が持つなんなん線沿線の広大な土地を提供し、南越建設の施工力をもって世界最高峰の撮影所を組み上げましょう」


「ありがとうございます、篠原社長……!」藤堂社長が感涙にむせんだ、その時であった。


役員室の固定電話が甲高い音で鳴り響いた。


篠原が受話器を取る。相手は、南越エアラインズの新形空港国際デスクからの緊急連絡であった。


『篠原社長! 緊急事態です! たった今、アメリカ・ロサンゼルスから一機のプライベートジェットが新形空港へ緊急着陸いたしました!』


「プライベートジェット……? どなたですか」


『乗っておられるのは……ハリウッドの超巨大映画会社「ユニバース・ピクチャーズ」の最高経営責任者(CEO)であるマイケル・ロビンソン氏と、その幹部陣です!「今すぐ南越急行の篠原社長に逢わせろ」と直談判に訪れておられます!』


「何だと……!? ユニバース・ピクチャーズのマイケルCEOが直々に新形へ!?」


藤堂社長と神崎監督が飛び上がって驚いた。ユニバース・ピクチャーズと言えば、世界中の映画興行収入のトップを牛耳る、ハリウッド屈指の「絶対的映画帝国」であった。


わずか一時間後。


南越エアラインズの専用リムジン(本産自動車の最上級AI自動運転セダン)に乗って、六日町の本社ビルへ滑り込んできたのは、漆黒のスーツに身を包んだ銀髪の力強い男——ユニバース・ピクチャーズCEOのマイケル・ロビンソンであった。


ボディガードと弁護士団を連れ、役員室へと入ってきたマイケルCEOは、篠原を見るなり、大一番の笑みを浮かべて力強い英単語で叫んだ。


『シェノハラ! 逢えて光栄だ!『Train way』は観たぞ! 全米で興行収入第1位だ! 素晴らしい映画だった!』


マイケルは篠原の手を強く握りしめると、そのままテーブルに一冊の分厚い契約書(英文)をドンと叩きつけた。


「マイケルCEO、突如のお越し、驚きました。一体どのようなご用件でしょう」篠原が平静を保ちながら英語で返す。


マイケルCEOは不敵で情熱的な眼差しで篠原、そして同席していた北宝映画の藤堂社長を見つめた。


『用件はひとつだ! 北宝映画が南越急行沿線に新しい最新鋭の撮影所を創るという情報を、我が社の情報網が察知した!……シェノハラ、藤堂! その合弁事業に、我がユニバース・ピクチャーズも「出資比率三分の一(三社対等合弁)」として参加させろ!』


「な……なにぃっ……!? ユニバース・ピクチャーズも撮影所の合弁に加わりたいだと!?」藤堂社長が叫んだ。


マイケルCEOは胸を張り、破格の条件を提示した。


『我がユニバース・ピクチャーズは、新撮影所の建設資金として一括で「1,000億円(約10億ドル)」を即座に出資する! さらに、我が社が保有する世界最高峰の8Kバーチャルプロダクション特許、ハリウッドの最新AI特殊効果(VFX)システム、そして世界中のトップスターやハリウッド監督たちを、この新新形撮影所へ優先的に送り込む!』


マイケルは身を乗り出し、熱っぽく語りかけた。


『ハリウッド(ロサンゼルス)は今、人件費の高騰と敷地の狭小化、環境規制で限界を迎えている! だが、ここ新形には南越急行の完璧な自動化インフラと、南越建設の土木力、南越車輌と本産自動車の最新メカ製造技術、そして美しく雄大な四季の自然がある! ここに日本とハリウッドが融合した「世界最大の次世代映画製造拠点」を創るんだ! 拒否する理由はないはずだ!』


役員室に激震が走った。


日本最大の映画会社「北宝映画」、ハリウッドの絶対的巨人「ユニバース・ピクチャーズ」、そして12兆円の資本と自前の全インフラを誇る「南越急行ホールディングス」。


この三者が手を取り合えば、単なる地方の撮影所どころか、ハリウッドをも凌駕する「地球上最大の映画制作都市」が誕生することを意味していた。


篠原は静かにジャスミン茶を口含み、大石と古賀を見た。二人とも、瞳に熱い興奮の光を宿して頷いている。


篠原は立ち上がり、マイケルCEO、そして藤堂社長に向かって力強く手を差し出した。


「マイケルCEO、藤堂社長。素晴らしい提案です。南越急行、北宝映画、ユニバース・ピクチャーズの三社対等合弁による、世界最大の映画制作会社および撮影所運営会社の設立を承認いたします!」


『素晴らしい! サンキュー、シェノハラ!』


マイケルCEOと藤堂社長、そして篠原の手が力強く固く握り合わされた。こうして、世界のエンターテインメント史を塗り替える超巨大プロジェクトが、正式に始動したのである!


プロジェクトの発足に伴い、新会社の設立が発表された。


運営会社名:『南越グローバル・シネマ・スタジオ株式会社(英名:Nantetsu Global Cinema Studios Co., Ltd.)』


資本金: 1,500億円(南越急行ホールディングス 33.4%、北宝映画 33.3%、ユニバース・ピクチャーズ 33.3%)


撮影所名称:『南越ワールド・シネマ・パーク&スタジオ(Nantetsu World Cinema Park)』


建設地として選ばれたのは、南越急行なんなん線「六日町〜十二町」間に広がる、東京ドーム約50個分(約250ヘクタール)に及ぶ広大な敷地であった。


春。


南越建設の「全自動施工チーム」とAI重機群が総動員され、歴史的な大建設工事が火蓋を切った。


南越建設の井上社長率いる土木チームは、わずか一年という異例の超短工期で、世界最先端の映画制作拠点を組み上げていった。


【南越ワールド・シネマ・パーク&スタジオの5大驚異的スペック】


『世界最大級の8K超高精細バーチャルプロダクション・巨大サウンドステージ(全20棟)』


高さ30メートル、直径100メートルの巨大全天候型ドーム内に、本産自動車と南越車輌が共同開発した超高精細LEDシネマ壁面を完備。天候や季節を問わず、砂漠、宇宙、古代ローマ、未来都市を100%リアルタイム実写合成撮影可能。


『南越建設&南越不動産による「大規模屋外オープンロケセット・街並みエリア」』


昭和・平成の日本の街並み、江戸時代の城下町、ニュー・ヨークのビル街、中世ヨーロッパの城塞都市を完璧に再現した巨大屋外ロケエリア。


『南越車輌&本産自動車による「特殊映画撮影用メカ・ビークル特撮技術」』


映画撮影専用のカメラドローン、自動走行撮影カー、特殊スタント車、SF宇宙船メカを自前で開発・供給。


『ハリウッド直結の「AI-VFX・音響・編集ポストプロダクションセンター」』


ユニバース・ピクチャーズの最新AIレンダリングサーバーと、南越総合大学の「メディア・イノベーション学部」の若きクリエイターたちが直結。世界最速の編集・VFX処理を実現。


『一般観光客向け「テーマパーク・スタジオツアー」の併設』


南越不動産が運営。撮影の様子をガラス越しに見学できるスタジオツアー、映画アトラクション、南越ビバレッジや南越アグリの限定グルメが味わえるテーマパークエリアを併設。


工事は凄まじいスピードで進行し、なんなん線の新駅「シネマ・パーク前駅」も新設され、160km/h対応超高速AI電車「NK3500系」が3分間隔でダイレクト直結されたのである。


秋。


ついに完成した『南越ワールド・シネマ・パーク&スタジオ』のグランドオープン(開所式)の日がやってきた。


紅葉に映える越後の美しい山々を背景に、見上げるような近未来的な巨大スタジオ群と、広大なオープンロケセットが空へそびえ立っていた。


新駅「シネマ・パーク前駅」からは、南越急行の「NK3500系」や、南越・新形モビリティ交通の「グランド・キャブオールAIバス」から降り立った、国内外の数万人の観光客、映画ファン、そして世界中の報道陣が押し寄せていた。


オープニング式典のレッドカーペット。


ハリウッドや日本のトップスター俳優たち、アカデミー賞監督たち、マイケルCEO、藤堂社長、神崎監督、そして南越急行の渡辺会長、長谷川副会長、篠原CEO、大石専務、古賀副社長が並んで歩いた。


集まった数万人の観客から、割れんばかりの嵐のような歓声とカメラのシャッター音が巻き起こる!


テープカットの瞬間、空へ向かって放たれた数千の風船と花火。


神崎監督が、涙を浮かべながらマイクに向かって叫んだ。


「世界中の映画を愛する皆様! 本日、ここ新形の地に、地球上で最も美しく、最も革新的な『映画の聖地』が誕生いたしました! ここから、人類の歴史に残る新しい物語が、無限に生まれていきます!」


割れんばかりの大歓声!


すでに新スタジオでは、ユニバース・ピクチャーズと北宝映画が手掛ける超大型SFアクション映画『ギャラクシー・フロンティア』や、日本の大型時代劇『サムライ・ロード』、そして南越総合大学の学生クリエイターたちが手掛ける新しいアニメ作品の撮影が、世界最先端のバーチャルステージで一斉にクランクインしていた。


スタジオの見学用ガラス廊下からは、ハリウッドの巨匠監督が最新の8KLED画面の前でメガホンを取り、本産自動車の特殊撮影ドローンが空中を滑らかに飛び交う、異次元の撮影風景が広がっていた。


「すごい……! 本当にハリウッド以上の撮影所が、新形にできちゃったんだ!」


見学に訪れた地元の子供たちや学生たちが、目を輝かせて歓声を上げていた。


スタジオに併設されたテーマパークや「ホテル・ホワイトラビット・シネマタワー」、南越ビバレッジのカフェは大盛況。南越急行グループの全インフラ網は、映画産業という新しい巨大なエンジンを得て、さらに爆発的な経済循環を開始したのである。


夕暮れ時。


『南越ワールド・シネマ・パーク』の最上階スカイデッキ。


茜色に染まる越後の空と、ライトアップされた近未来的な巨大撮影所群を見下ろしながら、渡辺会長、長谷川副会長、篠原、マイケルCEO、藤堂社長の五人が乾杯のグラスを掲げていた。


マイケルCEOが、感無量の面持ちで琥珀色のジャスミン茶(南越ビバレッジ)を口含みながら叫んだ。


『シェノハラ! 最高のスタジオだ! ロサンゼルスの連中も「新形の撮影所を使わせてくれ」とパニックになっているよ! ハリウッドと日本の映画の未来は、完全にこの新形にある!』


藤堂社長も目元を熱くして頷いた。「渡辺会長、篠原社長……夢のようです。破綻寸前だった我が社の撮影所問題が、世界最高のエンターテインメント城塞として結実するなんて……」


長谷川副会長が、嬉しそうに篠原の肩を叩いた。


「ハハハ! 見ろよ篠原! かつて『なんたか』を失って泣いていた俺たちの線路の横に、世界一の映画の街ができちまったんだからな! どこへ行っても世界中からやってきた役者や監督たちが笑顔で歩いているぞ!」


篠原は穏やかな笑みを浮かべ、夕空に浮かぶ一番星を見つめた。


「渡辺会長、長谷川副会長。物語ストーリーとは、人の心を動かし、明日を生きる勇気を与える『最高のエネルギー』です。我がグループの2兆円から始まった資金とインフラは、こうして世界中に『夢と感動』を届けるための舞台となったのです」


渡辺会長が立ち上がり、茜色の空の下に広がる新都市・六日町となんなん線の複線軌道に向かって力強く胸を張った。


「篠原君。かつて我々は雪の中で消えゆくのを待つだけの会社だった。だが今、我々は自分たちの技術と資金で、世界中の人々が夢を語り合える『光り輝く銀幕の城』を創り出したんだな」


「はい、渡辺会長。我々の創り出す夢の軌跡に、終着駅はありません」


新駅「シネマ・パーク前駅」へと滑らかに入線していく、時速160キロの超高速AI電車「NK3500系」。


その車窓には、ライトアップされた映画の城と、笑顔で手を振る世界中の人々、そしてどこまでも伸びる光り輝く線路の姿があった。


2兆250億円という前代未聞の純利益から始まった、弱小第三セクター「南越急行」の奇跡の反撃劇。


不滅の情熱と地域の絆を胸に刻んだ彼らの走るレールと未来は、鉄道、地銀、自動車、航空、港湾、建設、物流、報道、ホテル、食卓、豪雪防衛、百貨店、人生の信託、手厚き医療、未来の教育、創薬、名物飲料、地域の胃袋、伝統の米菓、そして「世界を感動させる映画エンターテインメント(南越グローバル・シネマ・スタジオ)」までも自前で繋ぎ合わせ、どこまでも、どこまでも光り輝く未来へ向かって、永久に力強く走り続けていくのだった。

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