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第60話:祝・60回! 弟子が『汚れ吸着香料』を爆誕させた結果、埃のゴーレムに屋敷が占拠された件

連載60回を迎え、聖域にはさらに多くの弟子たちが集まっていた。

 だが、向上心の強すぎる弟子の一人が、ゼクスの「汚れを浮かせる香料」を改良しようとして、禁断の配合レシピに手を出してしまった。


「ゼクス師匠! 見てください、汚れを『浮かせる』のではなく、強力に『引き寄せる』アロマを開発しました……あわわっ!?」


弟子が抱えていた試験管が床に落ち、パリンと割れたその瞬間。

 聖域中に、強力な磁力のような、それでいて甘ったるい不思議な香りが充満した。


「……まずい! 全員、鼻を塞げ! それは調香術における禁忌タブー、『万物塵埃吸引香ダスト・マグネット』だ!」


ゼクスの警告も虚しく、香りは屋敷の隅々、さらには聖域の結界の外まで広がっていく。

 すると、どうだろう。

 どれだけ磨き上げても、目に見えないレベルで存在していた微細な埃、さらには数キロ先にある森の枯れ葉や泥までもが、意志を持ったように屋敷へと殺到し始めたのだ。


――ゴゴゴゴゴ……。


居間の中心で、集まった汚れが巨大な塊となってうねり、やがて腕が生え、脚が生え……。


「……グォォォォォォ……ソウジ……サセヌ……」


体長5メートル。全身が埃、糸くず、髪の毛、そして「しつこい油汚れ」で構成された最悪の魔物、『埃のゴーレム(ダスト・ギガース)』が誕生してしまった!


「……うっ。……臭い。……悟りの香りより、物理的に鼻に来る」

「ゼクス様! せっかく磨いた床が、ゴーレムの足跡でベタベタですわ!」


リリスとエルナが悲鳴を上げる。ゴーレムが動くたびに、聖域には「不衛生な足跡」が刻まれていく。


「……仕方ありません。弟子が作った汚れなら、師匠(俺)が片付けるしかありませんね」


ゼクスは腰の『高圧噴霧式・香水ボトル』を構えた。


「カガミ、俺の影を100倍に投影して、ゴーレムを全方位から囲んでください!」

「承知いたしましたわ、主様!」


カガミの鏡面反射で増殖したゼクスたちが、ゴーレムを取り囲む。


「……くらえ! 汚れの分子結合を瞬時に破壊する、極大調香魔法――『超銀河・除菌ギャラクシー・サニタイズ』!!」


ゼクスが放ったのは、アルコール濃度99.9%(魔力強化済み)に、あらゆる消臭成分を濃縮した特製の香気波動。

 それがゴーレムに直撃した瞬間、巨体は「シュワァァァ」と音を立てて分解され、ただの「さらさらした清らかな砂」へと還っていった。


「……ふぅ。60回目にして、一番汚い敵でしたね」


ゼクスが汗を拭うと、そこには埃一つない、以前よりもさらに清浄になった空間が広がっていた。

 震えていた弟子たちは、師匠の圧倒的な「片付け力」に改めて心酔し、再び雑巾を手に取るのだった。

お読みいただきありがとうございます!

祝・60回! まさかのラスボス(埃)登場回でした。

「汚れを引き寄せる」という失敗から、逆に「効率的な集塵」を学ぶ……ゼクスの教育はまだまだ続きます(笑)。

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