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第54話:将軍様から『お掃除奉行』に任命され、豪華な畳の城を贈られそうになった件

カミツ領中の窓ガラスを一瞬で透明(消失レベル)にした翌朝。

 俺たちは、この国の最高統治者である『カミツ将軍』の居城へと招かれた。


「面を上げよ、清浄の騎士ゼクス殿! 貴殿の働き、もはや人の域を超え、神業に近い! 拙者は感動したぞ!」


豪華な金箔の襖が開くと、そこには「ピカピカに磨かれた窓」に感動して涙ぐんでいる、真っすぐな瞳の将軍様が座っていた。


「……はぁ。どうもありがとうございます」


「礼を言うのは拙者の方だ! つきましては、貴殿を我が国の特別職【お掃除奉行】に任命し、このカミツ領の全清掃権を委ねたい! さらに、祝いとして『純金畳一万枚』を敷き詰めた新築の城を差し上げよう!」


「……一万枚の、金箔の畳……」


俺は絶句した。

 アルテミス様が「ゼクス、やったわね! これで貴公も一国の要職よ!」と喜んでいるが、俺の脳内シミュレーションは別の方向へ加速していた。


(……待てよ。純金の畳ということは、表面の酸化を防ぐために毎日の乾拭きが必要だ。しかも一万枚。もし隙間に埃が溜まれば、金の色がくすんでしまう。……それに、城全体の換気システムはどうなっているんだ? 障子の張り替えだけで一年が終わるぞ……!)


「……将軍様。そのお話、……慎んでお断りさせていただきます」


「な、何ゆえ!? 奉行だぞ? 城だぞ!?」


「俺が求めているのは権力でも金でもありません。……ただ、自分の手が届く範囲の汚れを、自分の納得いくまで落としたいだけなんです。一万枚の畳を管理するために事務作業に追われるのは、掃除屋の本懐ではありません」


俺の「清掃哲学」に、将軍様だけでなく、背後で控えていた巫女サクヤやカガミまでもが「……なんて高潔な(お掃除バカな)お方……」と目を輝かせた。


「……むぅ。地位も名誉も、お掃除の邪魔というわけか。……あっぱれだ! では、役職は名誉職とし、城の代わりに『最高級のイグサを使用した、防汚加工済みの神域畳』を百枚ほど進呈しよう! これならどうだ!」


「……それなら、ぜひ!! ちょうど聖域の自室を和室に改造したかったんです!」


結局、俺は城の代わりに「最高の掃除用素材」を手に入れ、ホクホク顔で帰路につくのだった。

お読みいただきありがとうございます!

「城よりも畳(素材)」を選ぶあたりが、いかにもゼクスらしい選択でしたね(笑)。

将軍様からも一目置かれ、カミツ領でのゼクスの影響力はさらに盤石なものとなりました。

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