第53話:カガミの能力で掃除スキルを増幅したら、国中の窓ガラスが一瞬で消えた(ほど綺麗になった)件
付喪神のカガミが仲間に加わり、九龍屋敷の浄化もいよいよ大詰め。だが、数百年分の怨念が染み付いたこの巨大建築を一人で磨き上げるには、物理的な時間が足りない。
「……ゼクス様、お困りのようですわね。……私の【鏡面反射】をお使いなさいな」
カガミが銀髪をなびかせ、俺の前に立った。彼女が自身の本体である「八咫の鏡」を天に掲げると、屋敷の至る所に光の鏡が出現する。
「私の鏡に映るものは、すべて現実へと投影されます。……主様のその『お掃除の所作』、私が100倍に増幅して、この国の隅々まで反射させてあげましょう!」
「……100倍!? よし、やってみましょう。……神域流・広域洗浄術『万華鏡・クリーニング』!」
俺は屋敷の中央で、新作の『神域の超撥水ワイパー』を一閃させた。
すると、カガミの鏡がその動きを捉え、光の速さで増殖・反射を開始!
――シュバババババババッ!!
カミツ領の全世帯。
長年、煤煙で真っ黒だった長屋の窓も、将軍の城の贅を尽くしたギヤマン窓も、すべての「ガラス」というガラスにゼクスのワイパーの動きが転写された。
「……な、何が起きたのだ!? 拙者の家の窓が、光り輝いて消えてしまったぞ!?」
「バカ言え、消えたんじゃない! 汚れがなさすぎて、向こう側が素通しで見えているだけだ!」
街中から驚愕の叫びが上がる。
カガミの能力で増幅された洗浄波動は、窓ガラスだけでなく、ついでに「人々の心の曇り」までスッキリさせてしまったらしい。
「……ゼクス様、すごいですわ! 領民たちがみんな『窓が綺麗になったから、ついでに庭も片付けよう!』とお掃除ムーブメントを起こしています!」
巫女サクヤが水晶玉を覗きながら感動に震えている。
一方で、俺の背後ではいつもの修羅場が。
「……ちょっと、カガミ! 貴女、ゼクスの動きをコピーするついでに、ちゃっかりゼクスの『腰のライン』とかを接写して自分の鏡に保存してないかしら!?」
「……あら、バレました? これも主様の所作を完璧に反射するための『予備データ』ですわ。……ふふ、永久保存版です」
アルテミス様が聖剣を抜こうとするが、床が綺麗すぎて自分の顔が映り込み、思わず身だしなみを整え始めて戦線離脱。
結局、九龍屋敷どころかカミツ領全体を「鏡の国」のようにピカピカにしてしまった俺たちは、将軍様から「救国の掃除神」として招待状を受け取ることになるのだった。
お読みいただきありがとうございます!
カガミちゃん、有能すぎてお掃除の効率が跳ね上がりました。
でも、こっそりゼクスの隠し撮り画像を鏡の中に溜め込んでいるあたり、なかなかの策士です(笑)。
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