第49話:精霊が掃除を代行してくれるので、四人のヒロインと全力でバカンスを楽しんだ件
精霊たちが屋敷の隅々まで磨き上げてくれるお陰で、俺にはかつてないほどの「自由時間」が訪れていた。
この好機を逃すまいと、ヒロイン四人に腕を引かれ、俺たちは屋敷裏の『聖域プライベートビーチ』へとやってきた。
「……ふふ、ついにこの時が来たわね、ゼクス。今日はもう『掃除』の文字は禁止よ。ただの男と女として、私を楽しみなさい」
アルテミス様が、月の光で研磨された真珠のイヤリングを揺らし、大人びた微笑みを向ける。
エメラルドグリーンの海を背に、四色の水着が並ぶ光景は、まさに絶景という他なかった。
「ゼクス様、まずは日焼け止めを塗り合いっこしましょう?……私が、心を込めて、隅々まで……ですわ」
エルナが蕩けるような手つきでクリームを差し出し、俺の背中に指を這わせる。
すると、反対側からはリリスが。
「……ゼクス様、浮き輪はいらない。……私が、ずっと抱きついて浮かせてあげるから」
リリスが水中で後ろから抱きついてきて、柔らかな感触が背中に伝わる。
さらには、海の中からルサルカが顔を出した。
「ゼクス様! 深海の珍味『クリスタル・オイスター』を剥いてきましたわ! さあ、私の口から……あーん、ですわ!」
「「……それはやりすぎよ(ですわ)!!」」
アルテミス様とエルナの制止が飛ぶが、今日の俺にはそれを止める理由(汚れ)がない。
砂浜でビーチバレーをすれば、精霊たちがボールを浮かせたり風を送ったりして「全員が超絶プレイ」を連発するカオスな試合になり、お腹が空けば精霊たちが最高級のトロピカルジュースを運んでくる。
「……はぁ。本当に、掃除を忘れて遊ぶなんて、いつ以来でしょう」
俺が波打ち際で寝転んでいると、四人が俺を囲むように座った。
「……ゼクス。貴公が世界を綺麗にしてくれたおかげで、私たちはこうして笑い合える。……感謝しているわ」
アルテミス様が俺の手を握る。その温もりに、他の三人も静かに頷いた。
掃除は手段であって、目的はこの笑顔を守ることだったんだな――そんな、珍しくシリアスで良い雰囲気に包まれた、その時。
俺の『掃除センサー』が、地平線の彼方に「不吉な黒い点」を捉えた。
「……ん? あれは、宇宙から降ってくる……巨大な、埃の塊(小惑星)?」
「「「「……ゼクス、今は見ちゃダメぇぇぇ!!」」」」
ヒロインたちの必死の呼びかけにより、俺は無理やり海へと引きずり戻された。
新章の予感(汚れ)を背後に感じつつも、今はただ、目の前の美しい四人の笑顔を「お掃除」抜きで堪能するのだった。
お読みいただきありがとうございます!
ついに訪れた休息回。ヒロインたちとの絆が深まり、ゼクスも少しだけ「普通の青年」に戻れたようです。
しかし、お掃除公爵の目からは、宇宙の汚れすら逃れることはできませんでした(笑)。
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