第46話:ヒロイン四人が『私の隣で寝る権利』を賭けて、島一周お掃除レースを始めた件
サンソル島の反射光騒動が落ち着いたのも束の間。俺の屋敷(仮)の居間では、かつてないほど濃密な殺気が渦巻いていた。
「……いい加減、はっきりさせましょう。ゼクスの隣という『聖域中の聖域』に相応しいのは誰なのかを」
アルテミス様が、ビキニ姿のまま腰の聖剣(研磨済み)に手をかける。
「……そうですわね。聖女の慈愛で包み込むのが一番ですけれど、実力行使も辞さない構えですわ」
「……夜の隠密行動(添い寝)は魔族の専売特許。……譲らない」
「あら? 水の中なら、私の方が密着度は高いですわよ?」
エルナ、リリス、そして新参のルサルカが火花を散らす。
俺が「あの、俺は一人で寝たいんですが……」と口を挟もうとしたが、四人の鋭い視線に射抜かれて沈黙した。
「決まりね。ルールは単純。このサンソル島を一周し、道中の『汚染スポット』を最も華麗に、最も清潔に掃除して戻ってきた者が、今夜の『ゼクス添い寝権』を獲得する……!」
こうして、前代未聞の『第一回・サンソル島お掃除障害物レース』が幕を開けた。
俺は審判員として、守護龍シルヴァニールの背中に乗って上空から見守ることに。
「……位置について。……お掃除、開始!」
俺の合図と共に、四人の水着美女が猛然と飛び出した。
「第一チェックポイント、潮風で錆びた廃船群! ……ここは私が、聖剣の剣気で錆だけを削ぎ落とすわ!」
アルテミス様が流麗な剣舞を見せると、巨大な船体が瞬時に鏡面仕上げに変わる。
「甘いですわ! 第二チェックポイント、魔物が残した粘液地帯……『神域のバブル・シャワー』で一括除菌です!」
エルナが空中に魔法陣を展開し、高密度の石鹸の泡で森を包み込む。
「……第三チェックポイント。……岩場に詰まったヘドロ。……影縫いで一箇所に集めて、一気に消滅」
リリスが影を操り、職人のような手際で汚れを圧縮していく。
「ふふん! 最終ストレートは海の中ですわ! 海底のゴミ拾いなら、私の独壇場です!」
ルサルカが三叉槍を構え、トルネードを起こして海底を一瞬でクリーンにしていく。
四人の実力は拮抗。道中の汚れはみるみるうちに消滅し、サンソル島はレース開始前よりもさらに輝きを増していく。だが、ゴール目前で彼女たちは気づいていなかった。
あまりに皆が本気でお掃除(攻撃)しすぎた結果、島全体の反射率が再び限界を超え、彼女たちの水着が「眩しすぎて直視できない」状態になっていることに――。
「……主よ、あれはもはや光の暴力だな」
シルヴァニールの言う通り、ゴールに飛び込んできた四人は、逆光でシルエットしか見えないほどキラキラに輝いていた。
「「「「ゼクス!! 勝ったのは私よ(ですわ)!!」」」」
四人が同時に俺の腕に飛び込んできた衝撃で、俺の意識はホワイトアウトした。
結局、勝敗は判定不能。その夜、俺のキングサイズベッドには「四人の輝く美女」が隙間なく詰め込まれ、俺は文字通り「身動き一つ取れない(物理)」まま、朝まで一睡もできずに過ごすのだった。
お読みいただきありがとうございます!
ヒロインたちの全力が、島を綺麗にするどころかゼクスを追い詰める結果に……(笑)。
それにしても、掃除をしながら競い合う姿は、島民たちには「女神たちの舞い」に見えたそうです。
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