第45話:島を磨きすぎて夜空に『新星』が出現したと勘違いされ、天文学者が押し寄せてきた件
サンソル島での「深海の三叉槍」の研磨を終えて数日。島全体がゼクスの『シュリンプ・ブライト』と『神域のワックス』によって隅々まで磨き上げられた結果、とんでもない副作用が発生していた。
夜。満月が中天に昇ったその瞬間。
「……ま、眩しい!? ゼクス、何が起きたの!?」
アルテミス様が目を押さえながら叫ぶ。
なんと、島中の砂浜、建物、そして伝説の龍の鱗までが月光を完璧に反射し、島全体が青白く発光。夜空に向けて太い光の柱を突き立てていたのだ。
――その頃、隣国の王立天文台。
「き、教授! 南の海上に突如、太陽に匹敵する輝きを放つ新星が出現しました!」
「なんだと!? まさか、世界の終焉を告げるという伝説の星【アルティメット・シャイン】か!? 今すぐ調査団を派遣せよ!」
翌朝。サンソル島の海岸には、巨大な望遠鏡や測量機器を抱えた、目の下にクマを作った学者たちが、数十隻の船で押し寄せていた。
「……あの、皆さん。そんなに慌ててどうしたんですか?」
俺が不思議そうに尋ねると、先頭にいた老教授が俺の肩を掴んで激しく揺さぶった。
「君! 昨夜、この場所から天空を貫いた『神の光』を見たかね!? あの聖なる光の源はどこだ! 宇宙の真理がここに眠っているはずだ!」
「あ……いや、あれは宇宙の真理じゃなくて、ただの『ワックスの反射率』です」
俺がそう言って、手近な岩を『シュリンプ・ブライト』でひと拭きしてみせた。
すると、朝日を浴びた岩が「ピカーッ!」と激しい閃光を放ち、教授のメガネを真っ白に焼き尽くした。
「……ぎゃぁぁぁ! 目が、私の専門知識(視界)が真っ白に……! だが、この輝き……不純物が一粒子も存在しない、究極の『虚無の清浄』……!」
「……教授、感動してるところ悪いけど、それはただの掃除よ。ゼクスが変態的なレベルで磨きすぎただけなの」
アルテミス様が冷ややかに補足する。
調査団のメンバーたちは、自分たちが「宇宙の神秘」だと思って命懸けでやってきた光の正体が、「海老の殻から作った研磨剤」だと知り、その場で膝から崩れ落ちた。
「……我々天文学者が数百年かけて追い求めた光り輝く星が……掃除のおじさん(公爵)の手によって生み出されていたとは……」
「……あ、せっかく来たんですから、皆さんの望遠鏡のレンズも磨いてあげましょうか? よく見えるようになりますよ」
俺がサービスでレンズを磨いてあげると、その望遠鏡は「隣国の王女の寝室の埃」まで見えるほどの超高性能へと進化してしまい、別の意味で国家間の問題になりそうになるのだった。
お読みいただきありがとうございます!
ついに「星」と間違われるレベルまで磨き上げてしまったゼクス。
天文学者たちも、最後は「お掃除の力」に魅了され、天文台の掃除ボランティアとして更生していきました(笑)。
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