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第44話:深海の王女が『魔王に負けてられませんわ!』と、錆びた秘宝の研磨を強要してきた件

魔王からの「研磨剤で最終兵器を磨いたら山が消えた」という通信を、偶然(あるいは盗み聞きで)耳にした深海の王女ルサルカ。彼女の負けず嫌いに火がついてしまった。


「……ゼクス様! 陸の角が生えた御仁に、私の愛が負けているようで我慢なりませんわ! これをご覧ください!」


ルサルカが海底から引き揚げてきたのは、巨大なフジツボや錆、さらには正体不明の深海生物の死骸がこびりついた、一本の巨大な三叉槍トライデントだった。


「……うわぁ、汚い。ルサルカさん、これ、何千年前から放置してたんですか?」


「これは深海の神殿に伝わる秘宝【海神の三叉槍】ですわ。あまりに汚れすぎて、今やただの『重い鉄屑』と化していますが……ゼクス様の『シュリンプ・ブライト』なら、本来の姿を取り戻せるはず!」


彼女は俺に槍を押し付けると、上目遣いで迫ってきた。


「これを魔王の剣よりもピカピカにしてくだされば……今夜、私と一緒に深海の珊瑚のベッドでお休みいただけますわよね?」


「……させないわよ。ゼクス、その槍、私が『聖剣の錆』と一緒に纏めて除菌してあげるから貸しなさい」


アルテミス様が冷気を感じる笑顔で割り込んでくるが、俺はすでに職業病(お掃除魂)が発動していた。


「……いや、これはやり甲斐がありますね。ルサルカさん、下がってください。飛沫が飛びますよ」


俺は『シュリンプ・ブライト』に、天界の雨水を凝縮した『超高圧・ジェット洗浄液』を配合。さらに、守護龍シルヴァニールの咆哮による「超音波振動」を加えながら、槍の表面を磨き上げた。


――キィィィィィィィン!! パキパキパキッ!


数千年の錆が、まるで古い脱皮殻のように剥がれ落ちていく。その下から現れたのは、深海の蒼を凝縮したような、透き通るオリハルコンの輝きだった。


「……よし、仕上げのコーティング完了です!」


俺が布を離した瞬間、三叉槍から凄まじい衝撃波が放たれ、サンソル島の周囲の海水が真っ二つに割れた。


「……あら? 槍を磨いただけなのに、海に道ができてしまいましたわ」


「……ゼクス、貴公。今度は『海の物理法則』まで磨き壊したわね」


アルテミス様の呆れ声を余所に、ルサルカは「これなら魔王にも勝てますわ!」と大喜びで槍を振り回している。そのたびに津波が起きそうになるので、俺は慌てて「使用は一日一回まで!」というシールを槍に貼り付けるのだった。

お読みいただきありがとうございます!

海の秘宝すらも、ゼクスの手にかかれば「新品以上」の性能を発揮してしまいます。

魔王に続き、ルサルカまで「戦略兵器」を手に入れてしまい、世界のバランスがどんどん「お掃除」主体に塗り替えられていきますね(笑)。

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