第43話:魔王から『研磨剤、兵器を磨くのに最高だぞ!』という不穏なレビューが届いた件
サンソル島での「深海の王女」との修羅場から一夜。
俺は浜辺で、海水の塩分を中和する『神域の防錆スプレー』の調合をしていた。そこへ、聖域に残してきた魔王サタンから、魔力通信による緊急レビュー(手紙)が届いた。
「……どれどれ。『義理の息子よ、新商品のシュリンプ・ブライト、早速試させてもらったぞ!』……お、魔王さん、律儀に感想をくれたのか」
俺は微笑ましく読み進めたが、二行目から顔が引き攣った。
『……まずは試しに、魔界の最終兵器【終末の断罪剣】を磨いてみたのだが、これが凄まじい! 数万年分の怨念が一瞬で消え去り、刀身が鏡面仕上げになった結果、斬撃の摩擦係数がゼロになった! おかげで、ただ振るだけで空間そのものがスパスパ切れて、魔界の山が三つほど消し飛んだぞ! ガハハ!』
「……えっ。山、消しちゃったんですか?」
手紙はさらにエスカレートする。
『さらに、魔導戦車の装甲に塗り込んだところ、あまりの反射率に敵の光線魔法が100%反射され、勝手に自滅していく! これはもはや研磨剤ではない、最強の「反射装甲」だ! さすが師匠、平和な顔をしてエグい兵器を開発しおる! 追伸:孫の顔も楽しみだが、この研磨剤の量産も急いでくれ!』
「……ゼクス。貴公、また『お掃除用品』のつもりで『戦略兵器』を作ってしまったのね」
後ろから手紙を覗き込んでいたアルテミス様が、ジト目で俺を見つめる。
横ではリリスが「……さすがゼクス様。魔界の軍事バランスまで掃除しちゃうなんて」と誇らしげに胸を張っている。
「いや、俺はただ、皆さんの持ち物をピカピカにしたかっただけで……!」
俺が冷や汗を流していると、足元で守護龍のシルヴァニールが「主よ。その研磨剤、我の牙にも塗ってくれ。最近、噛み合わせの摩擦が気になっておったのだ」と、キラキラした瞳で口を開けて待っていた。
「……龍さん、それ塗ったら、たぶん噛むだけで次元が割れますよ」
俺の発明が、本人の意図しないところで世界の軍事境界線を書き換え始めている事実に頭を抱えつつ、俺は「魔王さんへの使用制限マニュアル」を早急に書き上げることにした。
お読みいただきありがとうございます!
「汚れを落とす」という行為が、結果的に「殺傷能力を高める」ことに繋がってしまうという、お掃除チートの恐ろしい側面(?)が描かれました(笑)。
魔王様、楽しそうで何よりですが、これ以上山を減らさないでほしいものです。
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