第38話:天界の雨で『伝説の守護龍』が目覚めたが、体を洗ってあげたら懐かれた件
女神アクアエルの雲から降り注いだ『癒やしの雨』は、聖域の土壌を浄化するだけでなく、地脈の深くに眠っていた太古の魔力をも呼び覚ました。
――ズズズ、ズゥゥゥン!!
突如、聖域の北側にある大きな湖が逆巻き、巨大な水柱が上がった。
そこから姿を現したのは、全長数十メートル、白銀の鱗を持つ伝説の存在――『天界の守護龍・シルヴァニール』だった。
「……何奴だ。我が永き眠りを、この清浄なる雨で妨げたのは……」
その咆哮一回で王都が震え上がるほどの威圧感。
魔王サタンが「おぉ、伝説の守護龍か! 歯ごたえがありそうだな!」と拳を鳴らし、アルテミス様が聖剣を構える。
「……待ってください。あの龍、鱗の間がドロドロですよ」
俺の『神眼鑑定』には、龍の威厳よりも、数千年の眠りで鱗の隙間に詰まった「化石化した泥」や「魔力の煤」がはっきりと見えていた。
「……龍さん、ちょっと失礼します。……くらえ、神域の高圧洗浄・ストリーム!」
俺は『サイクロン掃除機』の出力を逆転させ、天界の聖水を混ぜた高圧洗浄水を龍の体に叩きつけた。
「グォッ!? な、何を……。おぉ、……おおぉぉ!? なんだこれは、……痒いところに手が届く……!!」
龍は最初こそ怒り狂ったものの、洗浄水が鱗の隙間の汚れを根こそぎ弾き飛ばすと、一転して「くぅ〜ん」と可愛らしい声を上げ始めた。
仕上げに俺が特製ワックスを塗った巨大ブラシでゴシゴシと磨き上げると、白銀の鱗は鏡のように周囲を映し出すほどピカピカになった。
「……信じられん。数千年前、神々に洗ってもらった時よりも……遥かに心地よい。……お前、さては伝説の『神の庭師』の生まれ変わりか?」
「いえ、ただの公爵(兼・掃除屋)です」
龍はすっかり毒気を抜かれ、その巨体を縮小させると、子犬ほどの大きさのミニドラゴンになって俺の肩に飛び乗ってきた。
「決めたぞ。我が主よ。貴殿の側にいれば、常にこの清浄な肌を保てる。今日から我は、この聖域の『番犬』兼『モップ』として仕えよう」
「モップ扱いでいいんですか、守護龍さん……」
アルテミス様たちが呆然とする中、俺の肩でスヤスヤと眠り始めた伝説の龍。
こうして、聖域にはまた一人、騒がしくも強力な「お掃除仲間」が加わったのだった。
お読みいただきありがとうございます!
伝説の守護龍すらも、ゼクスの「高圧洗浄」の前には一たまりもありませんでした(笑)。
次回、このミニ龍を連れて王都へ向かうと、さらなる騒動が……!?
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