第37話:天界の女神が降臨したが、抱えてきた『雲』が汚すぎたので強力洗浄した件
聖域の空に、突如として七色の雷が鳴り響いた。
魔王が「なんだ、天界からの刺客か!?」と武器を構える中、光の柱の中から一人の絶世の美女が舞い降りてきた。
「……あぁ、あなたが噂の『お掃除公爵』ゼクスね?」
現れたのは、天界の洗濯と浄化を司る女神・アクアエル。
だが、その神々しい姿とは裏腹に、彼女が引きずっている「巨大な風呂敷」からは、鼻を突くような酸っぱい臭いと、どす黒い水滴が滴っていた。
「女神様、それは一体……?」
「これ? 私が管理している『天界の雨雲』よ。最近、下界の人間のストレスや欲望が蒸発して昇ってくるせいで、雲が真っ黒に汚れちゃって。……このままじゃ、世界中に『ヘドロの雨』が降っちゃうの。お願い、あなたのブランドの力で洗って!」
女神が風呂敷を広げると、中から「どろどろの綿菓子」のような、禍々しい巨雲が溢れ出した。
「……ゼクス、これは不味いわよ。神の領域の汚れは、地上の洗剤じゃ逆に溶かされてしまうわ」
「……ええ、聖女の私でも、このレベルの不浄は一生かかっても浄化しきれませんわ……」
アルテミス様とエルナが戦慄する中、俺は冷静に『神域のサイクロン洗濯機』に特注のアタッチメントを装着した。
「大丈夫です。……『天界専用・高圧スチーム洗浄モード』ならいけます。あと、隠し味に魔王さんが売ってた洗剤を少し混ぜて……」
俺は女神から預かった雲を、容赦なく洗濯機のドラムに放り込んだ。
さらに、仕上げに『神域の柔軟剤・シルキースカイの香り』を大量投入する。
――ゴォォォォォォォォォッ!!
洗濯機が太陽のような光を放ち、天界の汚れを分子レベルで分解・再構築していく。
数分後、排出されたのは……。
「……う、嘘でしょ!? 私の雲が、透き通るようなクリスタル・ホワイトに……! しかも、触るとモチモチしてて、とっても良い香りがするわ!」
女神アクアエルは、洗い立ての雲に顔を埋めて悶絶している。
空に放たれたその雲からは、キラキラと輝く『癒やしの雨』が降り注ぎ、聖域の草花が一瞬で満開になった。
「すごすぎるわ、ゼクス! お礼に、あなたを『天界名誉・洗濯神』に任命するわね! あと、この雲のメンテナンス、週一でお願いしていいかしら?」
「週一はちょっと、私生活に支障が出るので……。あ、この『天界用・固形石鹸』を置いておきますから、自分でお掃除してみてください」
「……神様に自力でお掃除を勧めるなんて、相変わらずゼクス様はブレませんわね」
エルナの呆れ顔を横目に、女神は「自分で洗うのも楽しそうね!」と、石鹸を大事そうに抱えて天界へと帰っていった。
こうして、ゼクスのブランドはついに「神の御用達」にまで登り詰めたのだった。
お読みいただきありがとうございます!
女神様すらも「お掃除の虜」にしてしまったゼクス。
天界の雨が綺麗になったことで、世界中の作物が豊作になり、さらにゼクスの名声が爆上がりすることに……。
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