第33話:聖域の朝、魔王が『義理の息子よ、孫はまだか?』と乱入してきた件
聖域に建てた公爵邸、その初めての朝。
窓から差し込む世界樹の柔らかな光と、俺特製の『神域のアロマ』が、昨夜の熱気を優しく包み込んでいた。
「……ん、……ゼクス……。まだ、離さないわよ……」
「……むにゃ。……ゼクス様……おかわり、ですわ……」
「……ゼクス様、……しっぽ、離して……」
右に王女、左に聖女、腕の中には魔族の姫。
三人のヒロインに絡め取られ、一歩も動けない幸せな拘束。昨夜の「混浴」から始まった激戦(?)の結果、俺の体力は『全自動回復ポーション』を三本飲んでようやく人並みに戻るほど削られていた。
だが、その静寂を切り裂く轟音が響いた。
――バシャーン!!(窓を突き破る音)
「カカカカ! 義理の息子よ、おはよう! よく眠れたか!?」
「……げほっ!? 魔王さん、入り口から入ってくださいよ!」
豪快に着地したのは、手に『魔界の特産・激辛ソーセージ』を抱えた魔王サタンだった。
「何を言う! 家族の仲ではないか! それよりどうだゼクス殿、昨夜の手応えは!? リリス、お前もだ! 余は早く『孫』の顔が見たいのだぞ! 名前はもう決めてある、男なら『魔掃除王・サタンJr.』だ!」
その言葉に、三人のヒロインが飛び起きた。
「お、お、お父様ぁぁぁ!? 何を、何を朝っぱらから恥ずかしいことを!」
「……魔王様。神聖な朝の食卓で、そのような露骨な話題は慎んでくださいまし……(顔真っ赤)」
「……お父様、デリカシーがなさすぎるわ。……でも、名前は『アルテミス・ジュニア』の方がいいわね」
アルテミス様まで便乗し始め、朝食の席は一気に修羅場と化した。
「ほら、ゼクス殿! これを食え! 魔界に伝わる『精力増強・黒竜の心臓(の燻製)』だ! これで今夜も……ぐはっ!?」
魔王の顔面に、エルナの放った『神罰(という名の目覚まし魔法)』が直撃した。
「……ゼクス様。お父様の言うことは無視して、私の作った『聖域の薬草オムレツ』を召し上がってください。……あーん、ですわ」
「……ずるい、私もしっぽで食べさせてあげるわ」
魔王が床で気絶している横で、俺は三人のヒロインに囲まれ、再び「食べられそうな」朝食を摂ることになった。
(……魔王さん。隠居して弟子になりたいって言ってたけど、ただの『居候のうるさい親父』になってませんか?)
俺の聖域スローライフは、どうやら世界で一番「騒がしい平和」に満たされているようだった。
お読みいただきありがとうございます!
魔王様の乱入で、ゼクスの平穏(?)が今日も脅かされています(笑)。
ヒロインたちの「誰が最初に孫を産むか」戦争も勃発しそうな予感……!
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