第29話:魔界をピカピカにして王都へ凱旋したら、追放した勇者たちが路地裏でゴミを漁っていた件
魔界の深淵を『サイクロン掃除機』で清掃し終えた俺たちは、白銀に輝く『世界樹の揺り籠号』に乗って王都へと帰還した。
魔王を屋根に乗せたまま、清々しい香りを振りまいて進む馬車の姿に、王都の民は歓喜の声を上げる。
「戻ったわね、ゼクス。……これで本当の意味で、この世界から『不浄』が消えたのね」
「そうですね。……おや、あそこにいるのは……」
王都の大通り、華やかなパレードの端っこ。
異臭を放つゴミ溜めの横で、ボロボロの装備を纏い、通行人に石を投げられている一団がいた。
かつて俺を「無能な雑草売り」と罵り、パーティから追放した勇者カイルたちだ。
「……あ、……あぁ……。ゼクス……? お前、なんでそんな豪華な馬車に……」
カイルが、泥にまみれた顔を上げて俺を見上げた。
彼らが使っていた「聖水(という名の不純物)」の副作用で、彼らの魔力回路はボロボロに焼け落ち、今や魔力も体力も一般人以下。自慢の聖剣も錆びつき、ただの重い鉄屑と化している。
「おい、汚らわしいぞ。ゼクス様に気安く話しかけるな」
馬車の窓からリリスが冷たい視線を送る。魔族の姫の威圧感に、カイルたちは腰を抜かして震え上がった。
「ゼ、ゼクス! 頼む、助けてくれ! 俺たちは騙されていたんだ! お前の作った『本物のポーション』があれば、俺たちの体も元に戻るんだろ!? また仲間に入れてやるから、早くそれを――」
「……いえ、無理ですよ。君たちの体は、もう『お掃除』できないほど汚れが芯まで染み込んでますから」
俺は馬車を止めず、窓から一瓶の『超強力・消臭スプレー』を放り投げた。
「せめて、その異臭だけでも消しておいてください。……あ、そのスプレー、一本一千万ゴールドしますけど、今の君たちに払えるかな?」
「なっ……!? 一千万……!? 待て、行くなゼクス! 俺が悪かった! 土下座でも何でもするから――!」
カイルの叫びは、沿道の民衆の「ゼクス様万歳!」という大歓声にかき消されていった。
かつての仲間は、俺が「いらない雑草」として捨てた路地裏の塵と同じ場所へ、自らの業によって辿り着いたのだ。
「……スッキリしたわね、ゼクス。……さあ、王宮で陛下の祝宴が待っているわ」
アルテミス様が俺の腕を引き、エルナとリリスも誇らしげに俺に寄り添う。
俺は、背後でゴミにまみれて泣き叫ぶかつての勇者たちを一顧だにせず、温かな光が待つ王宮へと馬車を走らせるのだった。
お読みいただきありがとうございます!
ついに勇者カイルたちへの「ざまぁ」が完了しました!
自業自得な末路を辿る彼らと、世界を救って愛されるゼクス。この対比こそが「なろう」の醍醐味ですね。
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