第28話:魔界の最深部で『ヘドロの魔神』に遭遇したが、サイクロン掃除機で根こそぎ吸い取った件
馬車が辿り着いたのは、魔界の最底。そこは、世界中の「負の感情」と「不浄な魔力」が千年かけて蓄積し、真っ黒なヘドロの海となった場所だった。
「……ギギギ……オオォォォ……」
突如、ヘドロの海が盛り上がり、山のような巨躯を持つ**『不浄の魔神・ヘドロドス』**が姿を現した。触れるだけで魂が腐り、並の聖騎士なら一瞬で闇に落ちる絶望の化身だ。
「ゼクス、下がって! これは……神話級の怪物よ!」
「……浄化魔法が……弾かれる!? これほどの汚れ、歴史上にも存在しませんわ!」
アルテミス様とエルナが戦慄する。だが、俺は肩に担いだ『神域のサイクロン掃除機・ゼクス・カスタム』のスイッチに指をかけた。
「……大丈夫ですよ。どれだけ巨大でも、結局のところは『溜まりすぎたゴミ』ですから」
俺は掃除機の吸引出力を最大へと回した。
『超高回転・次元吸引モード』、起動。
――キィィィィィィィン!!
掃除機のノズルが光り輝き、周囲の空間そのものを吸い込むような轟音が響き渡る。
「グガッ……!? ナ、ナニ……この……引力は……っ!? ワガ体ガ、千切レル……っ!」
自慢の体躯を誇っていたヘドロの魔神が、掃除機のノズルに向かってズズズ……と引きずり込まれていく。
魔神は必死に汚物(毒液)を吐き出して抵抗するが、その毒液さえも俺が内蔵した『神域の消臭フィルター』によって、吸い込まれた瞬間に「ミントの香り」へと変換されてしまう。
「……よし、仕上げに『隙間用ノズル』に換装!」
俺がパーツをカチッと付け替えると、吸引力は一点に集中。魔神の核となっていた「呪いの魔石」ごと、一気にシュポォォォォン!!と吸い込まれていった。
わずか数分後。
あんなに不気味だった奈落の底は、汚れ一つないピカピカの「白銀の岩場」へと変わっていた。
「……掃除完了ですね。お疲れ様でした」
背負ったタンクの中を確認すると、魔神だったものは高品質な『超圧縮・神域肥料』に精製されていた。これ、王宮のジャングルに撒いたらさらに凄いことになりそうだ。
「……一撃。……いや、一吸いだったわね」
「魔神が……掃除機の中で『いい香り』の肥料にされているなんて……。ゼクス様、恐ろしいお方ですわ……」
アルテミス様とエルナが半笑いで固まる中、屋根の上から魔王サタンが飛び降りてきて、俺の前に跪いた。
「……師匠! 今の『ノズルの切り替えタイミング』、実に見事でした! 勉強になります!」
「いや、魔王さん、弟子入りはまだ保留ですから」
こうして、世界の破滅を招くと言われた『汚れの王』は、一台の掃除機によって「ゴミ」として処理されたのだった。
お読みいただきありがとうございます!
魔神すらも「ただのゴミ」として吸い取ってしまうゼクスの無双、いかがでしたか?
これにて魔界の深淵もピカピカに。次回、ついに一行は「凱旋」へ!
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