第26話:魔界の秘宝『何でも吸い込む魔法の掃除機』を預かったが、改造して『次元清掃機』にした件
魔都パンデモニウムでの賑やかな夜が明け、俺たちは魔界最深部への出発準備を整えていた。
すると、リリスが魔王軍の宝物庫から、禍々しいオーラを放つ「巨大な壺」のようなものを持ってきた。
「……ゼクス様。これを、深淵のお掃除に使ってほしいの。……魔界の秘宝、『虚無の吸引壺』よ」
「吸引壺? なんだか凄そうな名前ですね」
「ええ。本来は、敵の魂や攻撃を無限に吸い込んで消滅させる最凶の魔道具。……でも、これなら深淵に溜まった千年前の『汚れ』も吸い込めるかもしれないわ」
リリスの説明によれば、一度吸い込まれたものは二度と戻ってこれないという。……なるほど、確かに掃除にはうってつけだ。
だが、今のままでは少し使い勝手が悪い。俺は『神眼鑑定』で構造を見抜き、腰の調合ポーチから『世界樹の潤滑油』と『光石の粉末』を取り出した。
「よし、ちょっと改造してみましょう。……全自動錬成、開始!」
俺が壺の底に「神域の排気フィルター」を取り付け、吸い込み口をホース状に伸ばして、全体を軽量な『魔王合金』でコーティングしていく。
仕上げに、世界樹の香りがする「抗菌・防臭チップ」を内蔵して――。
「……完成です! 名付けて『神域のサイクロン掃除機・ゼクス・カスタム』!」
「……な、なんだその形は!? 秘宝が、手で持ち歩けるほどコンパクトに……。しかも、吸い込み口からいい匂いがするぞ!?」
魔王サタンが驚愕の声を上げる中、俺は試しに、部屋の隅に溜まっていた頑固な瘴気の煤に向けてスイッチを入れた。
――ギュゥゥゥゥゥゥゥゥン!!
凄まじい吸引力。だが、音は『静音設計』のおかげで驚くほど静かだ。
一瞬で煤が吸い込まれ、背面の排気口からは、まるで高原のような爽やかな風が吹き抜けた。
「すごい……! 吸い込まれた汚れが、中で『肥料』に変換されてるわ!」
「さすがゼクス様ですわ。……これなら、深淵の汚れも一網打尽ですわね」
アルテミス様とエルナが目を輝かせる。
リリスも、自分の持ってきた秘宝が「スタイリッシュな家電」に変貌した姿を見て、尻尾をご機嫌にパタパタと振っている。
「……ゼクス殿。……余の城の、手の届かない天井の埃も、それで吸ってくれないか?」
「いいですよ、魔王さん。帰ってきたら家中ピカピカにしてあげますから」
最強の掃除機(秘宝)を肩に担ぎ、俺は馬車の御者台に飛び乗った。
「よし、それじゃあ出発しましょう! 世界の汚れを、根こそぎ吸い込みに!」
馬車は再び走り出した。
目指すは魔界最深部。千年の汚れにまみれた『世界のゴミ捨て場』が、俺のサイクロン掃除機の餌食になる日は近い。
お読みいただきありがとうございます!
秘宝すらも「便利家電」に変えてしまうゼクス。
次回、ついに最終決戦の地へ。そこには、お掃除しがいのある「とんでもない大物」が待っています!
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