第24話:魔界の都市に到着したが、瘴気が酷いので『特製アロマ』を焚いたらリゾート地になった件
門番たちの熱烈な見送りを受け、俺たちの『世界樹の揺り籠号』は魔界最大の都市、魔都パンデモニウムへと入った。
だが、そこは空がどす黒く濁り、息をするだけで喉が焼けるような濃厚な瘴気に満ちていた。
「……くっ、ひどい匂い。魔界の都市とは、これほどまでに過酷な環境だったのか」
「ゼクス様、浄化魔法が追いつきませんわ。ここに長くいては、普通の人間なら数分で魔力酔いを起こしてしまいます」
アルテミス様とエルナが口元を押さえる。魔王サタンは「まあ、魔族にとってはこれが日常なのだがな……」とバツが悪そうに頭を掻いた。
「……うーん、これは街全体の『換気』が必要ですね。ちょっと失礼します」
俺は馬車の屋根に設置した、新作の**『超広域・高圧噴霧器(アロマディフューザー仕様)』**を起動した。
中に充填したのは、世界樹の葉から抽出した天然精油と、聖教国秘伝のハッカを独自の黄金比で調合した『神域のリフレッシュ・ミスト』だ。
「……スイッチ、オン」
――シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!
馬車の煙突から、白銀の輝きを帯びたミストが爆風と共に噴き出した。
ミストは瞬時に街の隅々まで広がり、建物の隙間にこびり付いた数百年分の「呪いの煤」を物理的に剥ぎ取っていく。
「な、なんだ!? 突然、空から光り輝く霧が……!?」
「……はっ!? 苦しくない……。空気が……空気が美味しいぞ!? それにこの香り、……まるで伝説の楽園にいるみたいだ!」
数分後。
ドス黒かった魔都の空は、雲一つないスカイブルーへと変わり、街中にはラベンダーとミントを掛け合わせたような、至高の癒やしフレーバーが漂っていた。
道端の汚泥は「透明な湧き水」へと変わり、魔界の植物たちは浄化されて美しい花々を咲かせ始めた。
「……ゼクス。貴公、一瞬でここを『王都の避暑地』より綺麗な街に変えてしまったわね」
「見てください、アルテミス様。魔族の人たちが、あまりの心地よさに道端で寝転んで日向ぼっこを始めていますわ……」
かつては殺気立っていた魔族たちが、今はニコニコと幸せそうな顔で深呼吸を繰り返している。
彼らにとって、瘴気は「我慢するもの」であって、決して「好きなもの」ではなかったのだ。
「……おい、ゼクス殿。余の城も、ついでにこれで磨いてくれないか? この空気、一度吸ったらもう戻れんぞ」
魔王までが「はぁ〜、空気がうまい……」と骨抜きになっている。
俺は「あ、これフィルターの交換時期が早いので、予備を量産しておきますね」と、さらなる魔界の「リゾート化」を誓うのだった。
お読みいただきありがとうございます!
魔界がどんどん「住みたい街ランキング」上位に入りそうな勢いで浄化されています(笑)。
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