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第18話:魔族の姫を連れて王宮へ行ったら、庭園が『一晩でジャングル』になった件

魔王の娘リリスが我が家に居着いて数日。

 俺は、彼女が持っている魔王軍の情報を提供するため、アルテミス様と共に王宮へと向かった。


「……ゼクス、本当に大丈夫なの? 魔族の姫を直接国王陛下に合わせるなんて、前代未聞よ」


「大丈夫ですよ。リリスさん、今はすっかり大人しいですし。……ね?」


「……ええ。ゼクス様に角を磨かれたあの日から、私の忠誠は魔王ではなく、この『ワックスの主』にありますわ」


リリスは、銀河のように輝く角を誇らしげに揺らしながら、俺の腕をぎゅっと抱き寄せている。

 それを見たアルテミス様とエルナが、「……また距離が縮まっているわ」「……由々しき事態ですわね」と小声で火花を散らしている。


――王宮、謁見の間。


「な……な、……魔王の愛娘、リリス殿だと!? それがなぜ、我が国の男爵の腕に抱きついているのだ!?」


国王陛下は、玉座から転げ落ちんばかりに驚愕した。

 だが、リリスが淡々と「父はゼクス様のジャムや目薬に怯えています。今のうちに和平を結ぶのが賢明ですわ」と魔王軍の内情を暴露すると、陛下はさらに顔を青くした。


「……信じられん。ゼクス殿、貴公は一滴の薬で魔王軍の戦意を挫いたというのか……」


「いえ、ただの生活の知恵ですよ。……あ、そうだ陛下。お詫びと言ってはなんですが、王宮の庭園が少し元気がなかったので、待ち時間に『特製・栄養肥料』を撒いておきました」


「……肥料? ああ、それはありがたい。庭師たちも喜ぶだろう」


陛下が安堵の息をついた、その瞬間。


――ズズズズズズズッ!!


地響きと共に、謁見の間の窓から巨大なツタが突き破ってきた。


「な、なんだ!? 地震か!?」


慌ててバルコニーへ駆け出すと、そこには驚愕の光景が広がっていた。

 さっきまで整えられていた王宮の庭園が、一瞬にして**「伝説の霊草が咲き乱れる超巨大ジャングル」**へと変貌していたのだ。


「……あ、やっぱり『世界樹の削りカス』を入れすぎたかな。成長速度を1万倍くらいに設定しちゃったかも」


「1万倍!? ゼクス、これでは王宮が森に飲み込まれてしまうわ!」


アルテミス様が絶叫するが、よく見るとその植物たちは、魔王の残滓である不浄な空気を吸い込み、純粋な魔力へと変換して王都中に振りまいている。


「……陛下、見てください! この森から溢れる魔力で、民たちの病が治癒し、街全体の結界が強化されています!」


エルナが感動に震えながら祈りを捧げる。

 国王は、ジャングルと化した自分の庭を見上げ、ついに乾いた笑い声を上げた。


「……ははは。もはや何も言うまい。……ゼクス殿、貴公を『国師』どころか、もはや『現人神』として祀らねばならんかもしれんな」


俺は「ただのガーデニングですよ」と苦笑いしながら、また一歩、世界の常識をジャングルごと塗り替えてしまった。

お読みいただきありがとうございます!

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