第15話:王都を救ったご褒美に、三人で『秘密の温泉(ゼクス特製・神域の湯)』に入る件
魔王軍の黒雲を線香一本で吹き飛ばした翌日。
俺は、連日の激闘(主に調合と庭掃除)で疲れた体を癒やすため、男爵邸の奥庭に「あるもの」を建設していた。
「……よし、完成だ。これぞ『神域の薬湯・ヒノキ仕立て』」
ただの露天風呂ではない。
世界樹の枝から抽出した「神聖オイル」を数滴垂らし、聖教国の泉から引いた水に、これまた庭の「光る小石(実は超高純度の魔石)」を放り込んで加熱したものだ。
立ち上る湯気には、精神を安定させ、さらには……少しだけ「素直」になれる香料を混ぜてある。
「ゼ、ゼクス……。本当に、私まで一緒に入って良いのかしら?」
「そうですよ、ゼクス様。……王女様と私、二人同時にお誘いいただくなんて……大胆ですわ」
脱衣所の向こうから、アルテミス様とエルナの、少し緊張した、けれど期待に満ちた声が聞こえてくる。
「ええ、このお湯は複数学の魔力回路を同調させる効果もあるんです。……それに、広いお風呂の方が楽しいじゃないですか」
俺が湯船に浸かって待っていると、薄い湯気の向こうから、二人の人影が現れた。
「……失礼するわ」
「……お邪魔しますわね」
湯気の中に浮かび上がったのは、白磁のように滑らかな肌と、隠しきれない豊かな曲線。
アルテミス様は凛とした美しさを、エルナは聖女らしい清純ながらもどこか艶っぽい体つきを……バスタオル一枚で隠している。
「「…………っ!!」」
俺と目が合った瞬間、二人の頬が真っ赤に染まった。
「……ゼクス。あまり、ジロジロ見ないでちょうだい。……恥ずかしいわ」
「そ、そうですわ。……でも、ゼクス様になら、見られても……その……」
二人は俺を挟むようにして、お湯に浸かった。
「はぁ……。なんて気持ちいいお湯なの。……魔力が体の芯から洗われていくみたい」
「……本当ですわ。……それに、この香り。なんだか、とっても……ゼクス様のことを、もっと近くに感じたいというか……」
お湯の効能か、それとも香料のせいか。
二人が、とろんとした瞳で俺に寄り添ってくる。
右腕にはアルテミス様のしなやかな感触。左腕にはエルナの柔らかな温もり。
「ゼクス……。貴公は、いつまで私の側にいてくれるかしら? ……私は、貴公をただの騎士だとは思っていないのだけれど」
「私もですわ。……世界を救うのも大事ですが、私は……ゼクス様の『専属の聖女』になりたいのです」
左右から迫る熱い視線と、肌の触れ合い。
俺は鼻血が出そうになるのを必死に堪えながら、二人の肩をそっと抱き寄せた。
「……もちろんです。俺は、二人を守るために、これからも最高の『薬』を作りますから」
「……ずるいわ、ゼクス。そんなこと言われたら、もう……」
「……ふふ。今夜は、寝かせてあげませんわよ?」
月明かりの下、黄金色に輝くお湯の中で、俺たちの絆(と煩悩)はさらに深く深くなっていくのだった。
お読みいただきありがとうございます!
今回はサービス回ということで、ヒロイン二人との温泉シーンをお届けしました。
やっぱり無双の後は、こういう癒やしが必要ですよね(笑)
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