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衣織の物語  作者:
82/89

衣織の物語80「synchronicity(シンクロ)」13 僕たちの体には、何か秘密がある

アオイ 今日は、これくらいにしよう。とても体力を消耗するから。じゃあ、いつものように検査の準備して。

 スマホで検査し始める。

アオイ ちょっとチクッとするよ。

ユウ  僕は検査が一番いやだ。

アオイ ……母さんは言ってた。こうして検査をしてると、人から白い目で見られるから、隠れてするようになったって。(値を見て)ユウはFKTの値が高くなっている。もっとこまめに水分を摂らないといけない。撲はSJPの値が低くなっている。睡眠が足りないようだ。(スマホをしまう)

ユウ  ……僕たちは何も悪いことをしていない……強制的に避難させられて、どうしてそんなひどい目にあわなければならないんだ。人目を気にしなければならないんだ!

アオイ ……僕は避難先でずっといじめられてた。「放射能」 って……僕と仲良くなると、その子もいじめられた……誰も、僕に近寄らなくなった……僕はずうっと一人ぼっちだった……病院の先生に勧められて、僕はここに来た。ここに来れば、僕の病気も治るかもしれないって……。

ユウ  僕もそうだった。

アオイ 君はまだ、知らないんだね……僕たちの体の秘密を……

ユウ  アオイは何か知ってるの?

アオイ いや、はっきりとは分からない。でも、僕たちの体には、何か秘密がある。僕たちは他の人とは、何かが違う。

ユウ  どういうこと? 何が違うの?

アオイ わからない……でも、それによって僕たちは、隔てられ、ここにいる。

ユウ  僕たちは、ここに閉じ込められているの?

アオイ 震災からもうずいぶん経っているのに、まだ正確にはわかっていない。僕らのようなニュータイプは(ハッ)

ユウ  ニュータイプ? ニュータイプって何?

 アオイ、黙ったまま。

ユウ  さっき僕たちが光ったことと、何か関係あるの?

アオイ ……

ユウ  ねえ、僕たち、いつまでここにいなければならないの? いつになったら、ここから出られるの?……僕たちは、死んでしまうの?……

アオイ 放射性物質は、完全には除去されない……永遠に……

 舞台下手が点滅。

アオイ 石の棺が光っている……

ユウ  最近、光る回数が多くなっていないか?

アオイ そろそろ準備を急がなければならない……

ユウ  僕はもう、いやだ! こんなところに閉じ込められたくない!

 ユウ、下手へ飛び出していく。アオイは、それを追いかける。(「シンクロ」より)



部長「ここも、初見の観客には意味が分かりにくい場面だ」

遠藤「舞台を整理しておくと、下手に事故を起こした原発があり、そこから放出される放射能が、石棺で封じ込められている。しかし耐用年数と高い値の放射線の影響で、石棺が崩壊寸前だ。その危機への対応のために、どうやらふたりはこの場所にいるようだ」

副部長「シンクロという不思議な作用が、それに関係しているらしい。そうしてそれができるのは、アオイとユウのふたりだけらしい」

影山「ニュータイプはSFによく出てくる用語だけど、ガンダムシリーズでは、単なる超能力者ではなく、人類が宇宙環境に適応する中で生まれる、新しい能力を持つ存在として描かれてる。たとえば、時空を超えた非言語的コミュニケーション能力を持ち、 テレパシー的な感応や他者の思考の理解が鋭敏に行われる。超人的な感覚・洞察力があり、 危険を察知する。空間認識能力も高く、 宇宙空間での戦闘に圧倒的な能力を発揮する。他者とわかり合う可能性を象徴する希望の存在なんだ。その一方で、その能力が軍事利用されてしまうという、悲劇的な側面も持つ。死後世界や他次元とも接続できる。

 とにかくニュータイプは、洞察力・感受性・優しさを持ち、他者とのつながりを生む存在だ。人はどこまで理解し合えるのか?という永遠のテーマを映す鏡として扱われている。

 感応力がとても強いので、アオイとユウの持つ特殊な力によって、事故を起こした原発の暴走を何とか押しとどめようとしているのだろう」

遠藤「さすがやたらとアニメに詳しい影山だけあって、熱く語るな」

私「でもこれでよくわかりました。ガンダムとか、良く知らなかったので」

影山「ジェネレーションギャップか? 俺らと1学年しか違わないのに」

遠藤「そこは、オタクかそうでないかの違いなんじゃ」

副部長「そーだね。いっつもスマホでそれ系ばっかり見てるしね。なんなら、肌色がやたら多い画像も時折垣間見られるし」

影山「人のスマホを勝手に覗くな! それと、人の趣味を批判するな!」

副部長「でも、影山のムダな知識もたまには役に立ってよかったじゃん」

影山「けなされてんだかほめられてんだか、よくわからん」

副部長「ほめてんのよ」

 副部長さんはそう言うと、妖艶に笑った。ときどきドキッとすることをする、罪な女だ。


#小説

#高校生

#東日本大震災

#演劇部





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