新たな日課②
皆さんのおかげで100PVを超える事が出来ました!!
これからも、アイデアが尽きるまでこの作品を続けていければと思っていますので応援よろしくお願いします!!!
アレンは目まぐるしい日々を送り、六歳になっていた。
この年を境に、彼は念願だった剣術の訓練へと正式に参加することになった。
屋敷の広大な訓練場では、連日、騎士団員たちの勇ましい掛け声や、模擬戦で交わされる剣戟の音が響き渡っている。
「アレン坊っちゃん! よく、いらっしゃいました!」
声をかけたのは、ロドリス領騎士団長、ガイアスだ。
無数の傷跡が刻まれた剛腕を持つ彼は、この地で知らぬ者のいない達人であり、スキル【剣豪 Lv.4】を持つ正真正銘の強者である。
「こんにちは、ガイアス団長! 今日からよろしくお願いします!」
アレンは今日という日を指折り数えて待っていた。跳ねるような足取りで、小さな体に合わせた特注の木剣を握りしめ、大きな声で挨拶を返す。
「ほう、やる気があってよろしい! ではまずは、その木剣で正しい姿勢を覚えるところからやっていきましょう。素振りの型と、的に打ち込む初歩の訓練……慣れるまでは地味なことの繰り返しになりますが、よろしいかな?」
「はいっ、がんばります!」
アレンの素直でやる気に満ちた態度に、周囲で見ていた団員たちも「俺たちも負けてられねえな」と、より一層訓練に力が入ったようだ。
アレン自身も、父や騎士団、そして街で出会う冒険者たちの背中を見るうちに、一つの決意を固めていた。
(僕も強くなって、お父様たちみたいに、この街やみんなを悪いやつらから守るんだ!)
――数時間後。
「よし、そこまで。坊ちゃんは筋が良い。少し教えただけで無駄な力が抜けてきましたな」
「はぁ、はぁ……。ありがとうございます、ガイアス団長! でも、僕はまだスキルがないから……。スキルがあれば、もっとお父さんや騎士団のみんなみたいに、かっこよく剣を振れるんでしょうか?」
アレンがキラキラとした瞳で問いかけると、ガイアスはガッハッハと豪快に笑い、地面に腰を下ろした。
「坊っちゃん、勘違いしてはいけませんぞ。スキルはあくまで『助け』に過ぎません。この騎士団を見なさい。全員が剣術のスキルを持っているわけではないのです」
ガイアスが指差したのは、訓練の合間に談笑している団員たちだった。
「例えば、あそこにいる若手のハンス。あいつの持つスキルは【料理】です。だが奴は、包丁を扱う繊細な指先の感覚を剣に応用し、今では団内でも優秀な騎士として数えられています。遠征では絶品の手料理を振る舞って皆の士気を支えてくれる、なくてはならない男ですよ。他にも【裁縫】スキルで仲間の鎧を修繕する者もいます。大事なのは授かった力をどう使うか……その『努力』ですぞ」
「料理のスキルで、剣が強くなるなんて……。スキルって、不思議で、なんだか素敵ですね! 僕はどんなスキルを授かっても、一生懸命工夫して、次期領主としてみんなに頼られる存在になります!」
アレンの曇りのない返事に、ガイアスは眩しそうに目を細めた。
「その意気ですぞ、アレン坊ちゃん。我ら騎士団一同、あなたの成長を楽しみにしております」
騎士たちの温かな視線を浴びながら、アレンは再び木剣を構えた。自分の内側に、かつての悪党を束ねた冷徹な魂が眠っていることなど、露ほども思わずに。




