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EP93 集う王国ロイヤル四将軍

______冒険者組合での作戦会議から3日が経過した。

私達を尾行して来たReno、桔梗、ジョー、アエリアが突然沸いて出たけれど、ギルドマスターは、私の身内と言う事で全員の宿泊代を無料にしてくれた。

「どうだレイジー、アタシのお陰だぞ」

「あぁ感謝してるよ アディ」

 あうッ

「その呼び名、アディはまだ慣れないよね」

 うぅ。


 ギルドマスター曰く。

『この男がアデリアを......』

「アデリアは兎も角、なんとまぁ、美少女と美女ばかりな事ですなぁ。旦那様の御連れさんは」

「「「ギルドマスター、いい奴じゃないか。ちゃんと分かっている」」」

 私の娘達が口を揃えた。勿論アエリアも褒められて嬉しくない訳がないのだが。


『その言葉は、レイジー様に直接言って欲しいのに』

アエリアの恨めしい瞳が、レイジーをじっと見つめていた。

 ......ばかぁ


 社交辞令ではなく、本当に彼女達は美しく可愛いのだ。

そう言う私は、実は審美主義者でもある。それは私の父、立木陽介も同じで、父が作った<保毛坂48>や桔梗を見れば分かるだろう。

最後のバニラ・アイスだけは、私の美への追求を具現化したお気に入りなのだが、それを言うとバニラ・アイスが余計につけ上がるので、今迄、私は言った事がない。


「あの旦那様は、どうしてそんなにモテるんですか? その秘密を私にも教えて貰いたいもんですな」

『アデリアはこの男のどこに?』

 チラ



 アデリアが言うにはギルドマスターはまだ独身、渋いナイス・ミドルであり、美人女性冒険者からモテているのだが、本人は全く自覚がないらしい。

それはギルドマスターはアデリアに惚れていると、アンドロイドの娘達が分析していた。


=糞エルフを見るあの眼差しと、心拍の上がり方=

=Reno、間違いないな=

=あの糞エルフのどこがいいんだか、ねぇ桔梗=

その糞エルフは。

「ふん、レイジーもいい加減自覚しろ。あのなぁ、エスタリカ王国傾国の超美人と言われるアタシがだな、まぁ貴様に言っても無駄か」

 はぁ~??

「糞、なんだレイジー、その溜息は」


「いえいえ、父ちゃんはドスケベなだけです」

「はて? ドスケベとは?」

 ギルドマスターは、初めて聞く謎単語に首を傾げるのだった。

「「「スケコマシィ~」」」

「おいおい、品行方正な私に向かって馬鹿にしてんのか」

ここに居る女性全員が、見事な同じ言葉で大合唱。


 異世界にそんな言葉はない。きっと男を称える素晴らしい表現なのだろうと、ギルドマスターは誤解したのだ。

それ以降、ギルドマスターはモテる冒険者を「スケコマシィ~」「ドスケベ」と言うようになったと言う。

 当然、私に対してもだ。


   ダダン

 冒険者ギルドの扉が、慌ただしく開いた。

______「ギルマスう!」

 そんな雑談をしている所へ、新たな情報が飛び込んで来た。

揃いの部隊章を付けた5人組と、もう一人を目撃したと言うのだ。

そのマークとは3色のラインを横に重ねた物で、中央には☆があったと言う。


「その内の一人は女でした。そして訊いた事のない言葉を話していて、もう一人の男は見慣れた服を着ていましたね」

と言う事はルルシア帝国は5人、もう一人の男は異世界人だろうと推測出来る。

「訊いた事のない言葉なら、ほぼルルシア帝国で決まりだろう」


「なぁレイジー、そのルルシア帝国とは何者なのだ?」

それにはアエリアもふんふんと頷いている。

私達が地球から来たと言う話は、現状まだ早い。全てはルルシア帝国の攻撃に終止符を打ってからと思うのだ。


「私の国、遥か東方から私達を追って来た敵だよ。奴らの狙いは娘達だ」

 なんだと!

 ここでアデリアは確信した。

「成程、お前が養女にしたのは奴隷商人から守る為ではなく、もっと深い理由が......この娘達には重大な秘密があったのだな!」

『アデリア、惜しいが確かにアンドロイドと言う秘密がある』


「その通りだよアディ。私はこの娘達を守る為に東方から逃げて来たんだ。しかし遂にバレたらしい」

「でも、どうしてエスタリカ王国なんだ?」


「奴等、エスタリカ王国を乗っ取り、その後で娘達を妃にするつもりなのだろう。この子達は皆貴族の娘達なのさ」

 私は出鱈目をまくしたてた。

 なんと!


「スケコマシィ~の旦那様、状況は理解した。それでこれ程の美女を連れて逃げていたのですね! 己を犠牲にしてでも! ドスケベの鏡。不肖このギルドマスターのデュウーラ、及ばずながら力を御貸しますぞ!」


 話が妙な方向へと転がったけれど、味方が増えるのは有難い事だ。私はこの申し出を大いに歓迎したのである。

『すまんギルマス』


 ギルドマスターのデュウーラは、王国四将軍にも信頼された猛者だ。直ちにデュウーラが、極秘にギルド本部に招集の緊急伝書鳩を飛ばすと、その晩には四将軍達が時間差で集まってくれた。

傾国の美女で有名だったSランクのアデリアが同席するのも、只事ではないと思わせた大きな要因だった。



______エスタリカ冒険者ギルド

「待たせた」

威厳のある重く響く声だ。

エスタリカ王国四将軍 第一軍団将軍メビウス・フォン・ブラッケンが最後に現れた。その風格は第一軍団の将軍に相応しく堂々としたものである。


 第二軍団将軍グリーガー・ウルトフ、第三軍団将軍レイラン・ウィドゥ、第四軍団将軍バーモン・カットラーは、既にテーブルに着いて第一軍団将軍を待っていた。

ギルマスとアデリアだけは四将軍と面識がある。私はただ黙って黙礼をするのみで、娘達も私に倣った。


 ウム。

「アデリア久しいな、息災であったか?」

「勿論だ」

第一軍団将軍メビウス・フォン・ブラッケンが登場するまでは、三将軍と語らう時間があり、昔話や大まかな説明は済んでいた。


◇極秘会議◇

______軽く挨拶が済んだ所で、私が緊急招集の理由を説明する。

「ほう、貴殿がアデリアを射止めた男か」

第一軍団将軍が私を舐め回すように見つめたのだが、最後にふんと鼻を鳴らした。

『しかし、なんとも華奢な男なことよ』

顔つきから、私の事をお気に召さなかったらしい。


「こちらは、スケコマシィ~のレイジー旦那様です」

ギルマスが補足すると、娘達からプっと笑いが零れた。

私はギルドマスターのデュウーラに話した半分出鱈目な話を、真剣な顔で話した。


「要するにルルシアと言う者達が、我等四将軍の命を狙っていると。その後、エスタリカ王国を乗っ取って、そこな貴族の娘達を妃に据える......そのような筋書きか?」

「そうだ。その黒幕がラーモン・ディ・パッド公爵、それに気づいたのが、あ、あたしの夫のレイジーなんだ」

 アデリアが頬を赤らめて言い切った。


 !

「して、その証拠はあるのか?」

私は睨みつけられ、突き刺すような威圧を受けた。

 おわっ

それを見て第二軍団将軍グリーガー・ウルトフが、慌てて助け舟を出してくれた。

「メビウス、Sランクのアデリアの言葉を疑うのか? しかもギルドマスターのデュウーラも同意しているんだ。嘘な訳が無いだろう」 

「惚れた女の言葉を鵜呑みにしているだけかもしれん」

 うっ

ギルドマスターのデュウーラの顔面が引きつり、ピクピクと痙攣している。図星だ。


 するとメビウスは、賜った短剣を見つめながらこう言った。

「確かに現オランベルク王と、ラーモン公爵は信頼に値せぬ。我等に振りかかる炎なら打ち払うが、証拠もなく主君に反旗を翻す事は出来ん」

 はぁ~


 溜息をついたのは第三軍団将軍レイラン・ウィドゥで、まだ未婚の美しき女性将軍だ。それでも28歳と若く、長い黒髪と流し目が印象的だ。


「例えそのルルシアを倒したとしても頭が変わらなければ、この王国は何も変わりはしない。私は好機と見るわ」


「しかしだな、メビウスの言う事も正しい。我等は王国ロイヤル騎士団だぞ」

それを口にしたのは、最初に狙われている第四軍団将軍バーモン・カットラーのワイバーン部隊。それに兵站部隊も同時に殲滅対象となっているのだ。

 むぅ。


 第二軍団将軍グリーガーとレイランは、私の話を前向きに信じてくれたようだが、四将軍の足並みが揃わないのは拙かった。


「私が掴んだ情報では、第四軍団将軍バーモン・カットラーのワイバーン部隊と兵站部隊、合わせると数千人の兵とワイバーンが犠牲になるのです」

「それが本当なら、9,000の兵とワイバーンが300か!」


 手塩にかけて育てたワイバーンを殺されては堪らない。

第四軍団将軍バーモン・カットラーは、少し考えが揺れ始めた。それは部下を大切にしているからだ。


「要するに警戒と守りを固めればいいだけ。違うか?」

そこで私は文字通り、爆弾を投下したのである。

「しかしこのままでは、第四軍団将軍部隊と兵站部隊は全滅します! ルルシアを甘く見過ぎています!」

 貴様ぁ!

私の言葉で、その場が不穏な空気に包まれた。



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