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EP92 VS 公爵ラーモン・ディ・パッド+ルルシア帝国


______現オランベルク国王の先代はフォルーズゥース・エスタリカ。彼は王国ロイヤル四将軍達から、神のような絶対不変の忠誠と信仰を集めていた。

常に王国民に寄り添う姿に四将軍達は皆、その命と忠誠を捧げたのである。


 そのお陰で、エスタリカ王国は武装国家でありながら、隣国デルモンド王国は侵略される事もなく、平和な国家を維持出来ていた。

しかし情王フォルーズゥース・エスタリカも高齢と病魔には勝てず、5年前にその命の灯を消したのだった。

その時の王国民と四将軍達の悲しみは、想像に絶するものがあったと言う。


______次代オランベルク国王は、その葬儀の際に四将軍達にあるモノを与えて、「余への変わらぬ忠誠の証とせよ」と命じたのである。

それは現四騎士の誇りと忠誠の象徴、先代国王フォルーズゥース・エスタリカの肖像が彫られた金の指輪である。

これを賜った四将軍達が歓喜したのは言うまでも無い。


 だが......オランベルク国王への忠誠心は次第に薄れていき、四将軍達の忠誠は、短剣に掘られた王だけになってしまった。

その理由は、王国民の生活に想いを寄せず、欲の深い貴族達の言うなりとなれば、それは当然の結果となろう。

その筆頭が公爵ラーモン・ディ・パッドであり、四将軍達が最も嫌悪する男だ。


 四将軍達の心は常に王国国民と共にあって、決して現国王と公爵には向いていないが、両者に歯向かう事は出来なかった。______それが王に付き従う王国騎士の忠義の姿なのだから。


 公爵ラーモン・ディ・パッドは当然、四将軍達の心中は承知している。それ故、邪魔者はいつか順番に排除しようと考えていた。


◇蛇の道◇

______同じ穴のムジナ、類は友を呼ぶと言うべきか。

暗殺組織幹部ブルーアが、公爵ラーモンと接触するのは時間の問題だったのだろう。

そこへ地球人ルルシア帝国の5人が絡んで来たのだ。

公爵ラーモン・ディ・パッドとルルシア帝国の5人、暗殺組織幹部ブルーアの欲望は、一見一致を見たかのように見えたが、腹の内は違っていた______悪人に信頼関係など存在しないが、作戦は実行される。


 少し前、ルルシア帝国の5人が、幹部ブルーアと交わした作戦を、公爵ラーモン・ディ・パッドに打ち明けると、公爵は大いに歓喜しバック・アップを確約したのだ。


 計画通り、最初のターゲットとなったのは、王国兵站補給部隊3,000と第四軍団将軍バーモン・カットラーだ。

「ラーモン公爵殿、騎乗するワイバーン300と兵士6,000は、最初に潰しておきたい。なにしろ我等は飛べんからな」

ケツノアナコフ隊長が最初に潰すべき将軍であり、厄介な存在だからだ。


「ふっ、面白い奴だ。それでブルーアの話では、ワイバーン用に飛び道具を作っていると訊いたが、それはどうなっている?」

それには嬉しそうにブルーアが口を開いた。


「万事順調に御座います。あれは画期的な武器で、魔法使いを必要としない兵器です。今後、戦争の在り方が変わる事でしょう。一度目にすれば、公爵様もきっと驚きますよ」

「ほう、そんな武器が?」


 それは地球の小型ミサイルなのだが、魔法が大きな威力のある異世界では爆発物を飛ばすと言う発想はなく、上空を飛ぶワイバーンから爆弾を投下するのが、これまでの常識なのだった。

それにはケツノアナコフ隊長、自らが答えた。


「簡単に言えば、墳進式爆弾ですかな」

「墳進?? それは弓のように爆弾が飛んで行くのか?」

 その通りです。

「......益々面白い。それなら危険を犯さずとも、遠方からでも攻撃が可能になるのか? 誰が攻撃したのかも分からないなら実に都合がよい」

 ふふふ

  あっはは

   愉快だのぉ

   

 三者が笑っても腹の中では、それぞれの最終目標は一致していないのだ。


◇開戦の導火線◇

______「レイジー、アレがオランベルク国王の居城だ。ギルマスの話では、ラーモン・ディ・パッド公爵と同様、評判が最低最悪だ」

「成る程、それで王国の民が苦しんでいるって事か......しかし、これは私の出る幕ではないのかな?」


 他国の政(まつりごと)に、私が関与するのは拙い。ここは貴族が国王に話をつけるところだろう。

「その貴族連中が腐っているんだ」

「それと無視出来ない事があって、父ちゃん」

 ん?


 バニラ・アイスは毎日、王都の情報を集めていた。

「ルルシア帝国だよ。ルルシア帝国がラーモン・ディ・パッド公爵と組んだってさ。小型ミサイルを作って、王国四将軍を順番に殺すって」

 まさか!

 ここに来て重大な情報が飛び出した。地球から私達を追って来たルルシア帝国が、同じ異世界に来ていたのである。


「バニラ・アイス、その話は本当か? あいつ等までが異世界に来たと言うのか?」

「おいレイジー、そのルルシア帝国とはいったいなんの話だ? 兎に角、王国四将軍を抹殺しようとしているのなら、王国国民の為にも、アタシはそれを阻止しなければならない。当然、レイジーも手助けしてくれるよな! ア、アタシ達は夫婦なんだからな!」

 お? おぉ?


 エスタリカ王国で、Sランク冒険者として王国民の信頼と希望を受けて来たアデリアが、これを見過ごすことなど出来る訳がないのだ。

「やるの? 父ちゃん」

「わ、分かった。これは王国民の為だからな」

「流石はアタシの夫だ!」


 とは言へ、こちらの戦力はバニラ・アイスを含めて3人だ。Sランクの居ない冒険者達では、ただミサイルの餌食になるだけだろう。

「どう戦うつもりだ? レイジー。アタシにはいい案が思いつかない」

アディが私にそう訊くが、実質戦闘するのはバニラ・アイスとアディの二人だけになる。

「レイジー、ミサイルとは何だ?」

「遠方から飛ばす爆裂魔法だと思えばいい。私達には防御魔法が使えない......ここはよく作戦を練らないと」



 ......「みっけ!」

その声は、密かにレイジーの後を追ったReno、桔梗とかぶら姉さんことジョーだ。

「下衆様が王城を見ない訳がないのです。必ずここに来るとAi-myu48が分析した通りだった。どう桔梗?」

「ふんReno、我が御屋形様は王都ではおのぼりさんだ。ここに来ない訳がないだろう」


 かぶら姉さんが、当然とばかりに訊いた。

「あのさ、あんた達はアンドロイドでしょ、糞ウサの居場所なんて、電波かなんかで分かるんじゃないの?」

 

「いや、糞ウサギは王都内を移動してばかりで、それ故に居場所を特定出来なかったのだ」

 ふ~ん。アンドロイドでもそんなもん?

 そんなもんだ。


 しかし良く見ると、レイジーの腕にアデリアの腕が絡み付き、双丘をグイグイと押し付けながら、マーキングをしているのだ。

「糞、フェロモン攻撃とは卑怯な! 悔しいが私達アンドロイドは、ムシューだ」

 ズォォォ


 その時、アデリアの背後に、金ダライを振り降ろそうとする糞ウサギの姿があった。

「「「いいぞ! そこだバニラ・アイス、私達が許す。糞エルフなんぞやっちまえ!!!」」」

 ガゴォォォ~ン

 がふぅ クラァ

「この糞ウサギィ! 何をするだ!」

「いえ、頭に黒い虫がですね」

「なに? ゴキブリか! それなら仕方がないな」

まるで王城の鐘楼が鳴ったような、爽快な音が響いた。


「おっ? 昼の鐘にしては早いが......何だろうな?」



______そしてもう一人。

......『見つけました』

 隠密スキルで、レイジーを発見したのはアエリアだ。

「私だって、エスタリカ王国は知っているのよ。あの糞エルフになんかに負けてられない!」


 ギギィ

 レイジー達が冒険者組合に戻り、扉を開けるとフロアにはReno、桔梗、ジョー、アエリアが睨み合って私達の帰りを待っていた。

「おい! お前等がどうしてここにいる!」


 主レイジーの驚きは分かる。しかしバニラ・アイスは、目の前の二体と二人が、王都に来ていた事は知っていたのだ。

『ルルシア帝国と戦うのなら、こちらの戦力は多い方がいい。生身の人間よりRenoと桔梗はやはり頼りになるから』


 全員をテーブルに座らせて、皆が落ち着いたところで、バニラ・アイスはデーターリンクでRenoと桔梗に経緯を共有した。

「なるほど。それなら私達がここに来たのは、下衆様には好都合って事よね」

「Reno、王都で我が身の技を披露できるとは、やはり御屋形様を追って来て正解だったぞ」

 ??


「ちょっとちょっと、私達にも説明してよ」

「そうだな。アディ、説明してやれよ」

 あぁ、任せろ。


 状況についていけないジョーとアエリアには、アディが簡潔に説明をしたのだが、その途端アエリアの怒りに火が点いた。

「そんな事に! やはりあの公爵が絡んでいたのか!」

全ての糸が繋がったアエリア。その拳は怒りに震えていた。



 


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